ETC2030年問題とは?今後起こる変更をわかりやすく解説

ETC2030年問題の概要
「ETC2030年問題」とは、今使われているETC車載器が将来的なセキュリティ規格の変更によって、2030年頃をめどに使えなくなる可能性がある問題のことを指します。
ETCは料金所をスムーズに通過できる便利な装置として多くのクルマに搭載されていますが、現行のセキュリティ基準は導入から長い年月が経過し、昨今の情報機器に対するセキュリティ対策強化の流れを受けて見直しが進められています。この見直しに対応していない旧規格のETC車載器は、将来的に利用制限がかかる可能性があるのです。
国土交通省や高速道路会社の発表によれば、新セキュリティ規格対応のETC車載器はすでに販売されており、今後の安全性を確保するために旧規格からの移行が進められています。
現時点では旧規格のETC車載器も引き続き利用できますが、セキュリティ上の理由から「遅くとも2030年頃まで」に規格変更が完了する予定です。
なぜ今、注目されているのか
ETC2030年問題が注目されている背景には、「安全性の確保」と「利用者の不便回避」という二つの大きな理由があります。
セキュリティ技術は年々高度化しており、旧規格のままでは情報の盗聴や改ざんなどのリスクが高まる可能性があるため、国や道路会社が新しいセキュリティ基準への対応を進める必要があるとされています。
また、ETCは日本国内で高速道路や有料道路の料金支払いの主要な方法となっており、搭載率は非常に高い傾向にあります。
ある調査では2024年時点でETC搭載率が約95%に達しているとされ、ほとんどのドライバーが日常的に利用している状況です。
こうした事情から、「将来使えなくなるかもしれない」という情報が広まると、利用者の不安を解消せずにはいられない状況となっています。
さらに、ETC2030年問題は具体的な終了日がまだ公表されていないため、「いつ変わるのか分からない」という不確実性もユーザーの関心を高めています。
このため、現時点で対応/非対応のETC車載器の見分け方や対策を知っておきたいというニーズが高まっているのです。
なぜETCが使えなくなる可能性があるのか
セキュリティ規格変更の背景
ETC2030年問題の根本には、ETCシステムのセキュリティ規格を強化する必要性があります。
現在のETC車載器やICカードは料金所との通信において暗号化や認証などの安全機能が組み込まれていますが、サイバー攻撃やデータの漏洩リスクが年々高まっていることから、国土交通省や高速道路会社は新たなセキュリティ基準を設ける方向で検討を進めています。
この新基準は国が定めた「情報安全確保のためのセキュリティ規格の見直し」に基づくもので、現行の規格(旧セキュリティ規格)は将来的に新セキュリティ規格へ移行する予定とされています。
現時点では旧セキュリティ規格の車載器も使えますが、最長で2030年頃までに新セキュリティ規格に統一される方向です。
このようなセキュリティ強化は、ETCの決済情報や通信データの盗聴・改ざんを防ぐためのものであり、将来の安全性を確保するための技術的な進化ともいえます。
旧規格のままでは高度化するリスクに対応しきれない可能性があり、国や業界全体として新規格への移行が進められています。
利用者に影響が出る理由
セキュリティ規格が変更されると、対応していない旧規格のETC車載器は新しいシステムと通信できなくなる可能性があります。具体的には、新セキュリティ規格に準拠したETCシステムが主流になると、旧規格対応機器はシステムとの互換性を失い、料金所のETCレーンを通過できなくなる可能性が指摘されています。
また、旧規格のまま使い続けることは、単に将来使えなくなるリスクがあるだけでなく、将来的なアップデートや保守対応が受けられない可能性も考えられます。メーカー側でも既に新セキュリティ対応の車載器が販売されているため、今後は新旧双方の規格が混在する状況から、新規格への完全移行が進むと予想されています。
ETC車載器は日常的に使われる機器であり、高速道路の通行や渋滞の緩和、料金所でのノンストップ精算といった利便性を提供しています。そのため、旧規格のままで将来的に利用制限が生じると、ドライバーにとって日常利用への影響が出る可能性があるとして、早めの確認・対策が呼びかけられています。

あなたのETC車載器は大丈夫?対象かどうかの確認方法
管理番号から確認する方法
ETC2030年問題の対象かどうかを確認する方法のひとつが、ETC車載器管理番号を見る方法です。
ETC車載器管理番号は19桁の数字で構成されており、取扱説明書・保証書・セットアップ証明書などに記載されています。
この管理番号の先頭の数字によって、セキュリティ規格の違いを判断できる場合があります。
| 管理番号の先頭 | セキュリティ規格 |
|---|---|
| 1 | 新セキュリティ規格対応 |
| 0 | 旧セキュリティ規格対応 |
先頭が「0」の場合、将来的にETC2030年問題の影響を受ける可能性があるとされています。
ただし、すべての機種が一律に使えなくなると決まっているわけではないため、「旧規格=すぐに使用不可」ではありません。
本体表示・識別マークで確認する方法
書類が見当たらない場合は、ETC車載器本体に表示されているマークやロゴから確認できることもあります。
| 確認ポイント | 特徴 |
|---|---|
| 新セキュリティ規格対応 | 特定の識別マークが表示されている/ETC2.0ロゴのみ |
| 旧セキュリティ規格対応 | 識別マークがない/ETC2.0ロゴと別のマークが併記されている |
ただし、車載器の型式や製造時期によっては、マークが表示されていない機種も存在します。
そのため、この方法だけで判断できないケースも少なくありません。
自分で判断できない場合の対処法
管理番号や本体表示を確認しても判断がつかない場合は、購入した販売店やETC車載器メーカーへの問い合わせが確実です。また、車の年式が古く、ETC車載器も長年使い続けている場合は、ETC単体の問題にとどまらず、車そのものの今後の使い方を見直すタイミングと考える方も増えています。
ETC2030年問題は、単なる機器の問題ではなく、「この先も同じ車に乗り続けるのか」「買い替えや手放しを検討するのか」を考えるきっかけにもなっています。
ETC2030年問題と過去のETC2022年問題の違い
ETC2022年問題の概要
ETC2022年問題とは、電波法の改正により、一定の基準を満たさない無線設備が使用できなくなる可能性が生じた問題です。
2005年に電波法関連法令が改正され、無線設備から発射される不要な電波(スプリアス発射)の許容値が厳しく見直されました。
これにより、旧基準で認証を受けたETC車載器は、経過措置期限を過ぎると使用できなくなるとされていました。
当初は2022年11月30日が期限とされていましたが、社会情勢などを考慮し、現在は「当分の間」使用可能とされています。
そのため、現時点では多くの旧型ETC車載器が引き続き利用できている状況です。
2030年問題との共通点・相違点
ETC2022年問題とETC2030年問題は、いずれもETC車載器の規格変更がきっかけとなっている点は共通しています。
しかし、その背景や影響の出方には違いがあります。
| 項目 | ETC2022年問題 | ETC2030年問題 |
|---|---|---|
| 主な理由 | 電波法改正(スプリアス規制) | セキュリティ規格の強化 |
| 影響の内容 | 法令上の使用制限の可能性 | システム互換性・通信不可の可能性 |
| 現時点の状況 | 経過措置により当面は使用可 | 具体的な時期は未確定 |
| 利用者の対応 | 買い替えを検討する人が増加 | 事前確認・将来計画が重要 |
ETC2022年問題は「法令対応」が中心でしたが、ETC2030年問題は情報セキュリティとシステム更新が主なテーマです。
そのため、2030年問題はある日突然使えなくなるというよりも、段階的に旧規格が使いづらくなる可能性を想定しておく必要があります。
ETCだけでなく、車の年式や今後の維持費も含めて総合的に考えることが重要といえるでしょう。
旧規格ETCを使い続けるとどうなる?

高速道路利用時のリスク
旧セキュリティ規格のETC車載器を使い続けた場合、将来的に高速道路のETCレーンを通常どおり利用できなくなる可能性があります。
現在は多くの料金所で新旧規格の車載器が混在して利用できていますが、今後システム更新が進むことで、旧規格の通信方式が正常に認識されなくなるケースが想定されています。
その場合、ETCレーンでバーが開かない、エラー表示が出るなど、思わぬトラブルが発生するリスクがあります。
特に無人料金所やスマートICでは、係員対応がすぐに受けられないこともあり、精神的な負担や時間的ロスにつながる可能性があります。
今後想定される不具合や制限
旧規格ETCを使い続けることで考えられる影響は、「突然使えなくなる」というよりも、徐々に制限が増えていく点にあります。
- システム更新後、一部料金所で読み取りエラーが起きる
- 将来的なETC関連サービスや割引制度の対象外になる
- メーカーや販売店でのサポートが終了する
- 故障時に修理や部品対応ができない
こうした状況になると、ETC車載器単体の問題だけでなく、車そのものの使い勝手や維持のしやすさにも影響が出てきます。
特に車の年式が古く、ETCも長期間使用している場合は、「ETCだけを交換するのか」「車ごと見直すのか」といった判断を迫られるケースも少なくありません。
ETC2030年問題は、旧規格を使い続けるリスクを理解したうえで、今後の車の使い方を考えるきっかけとして捉えることが大切です。
ETC車載器は買い替えるべき?判断のポイント
買い替えを検討した方がよいケース
ETC2030年問題を受けて、「すぐに買い替えが必要なのか?」と不安に感じる方も多いと思います。
結論としては、すべての方が今すぐ買い替える必要はありませんが、状況によっては早めの検討が望ましいケースがあります。
- 旧セキュリティ規格のETC車載器を使用している
- 高速道路や有料道路を日常的に利用している
- ETCトラブルが起きると業務や生活に支障が出る
- ETC車載器が古く、メーカーサポートが不明
このような場合、将来的な不具合や制限を避けるためにも、新セキュリティ規格対応のETC車載器への切り替えを検討する価値があります。
一方で、使用頻度が低い場合や、車の買い替えを視野に入れている場合は、ETC単体の交換が最適とは限りません。
車の使用頻度・年式から考える選択
ETC車載器の買い替えを考える際は、車全体の状況をあわせて見ることが重要です。
| 車の状況 | 考え方の目安 |
|---|---|
| 年式が新しく、今後も長く乗る予定 | ETC車載器のみ買い替えを検討 |
| 年式が古く、維持費が増えてきている | 車の買い替え・売却も含めて検討 |
| 高速道路の利用が少ない | 急いで対応せず様子を見る選択も |
| 近い将来、車を手放す予定 | ETC交換せず整理を優先 |
ETC2030年問題は、ETC車載器だけを見直す話ではなく、「この車をこれからも使い続けるかどうか」を考えるきっかけでもあります。
買い替え・乗り換え・売却・廃車など、複数の選択肢を比べたうえで、費用や手間を抑えられる方法を選ぶことが大切です。
ETC問題をきっかけに考えたい車の今後

車を乗り続ける場合の選択肢
ETC2030年問題を知ったことで、「ETCだけ交換すればいいのか」「この車に今後も費用をかけるべきか」と悩む方も少なくありません。
車を乗り続ける選択をする場合は、ETC車載器の対応状況だけでなく、車全体の状態を確認することが重要です。
- 走行距離が少なく、エンジンや足回りに大きな不具合がない
- 車検や修理費が今後も大きく跳ね上がる見込みがない
- 通勤や業務など、日常的に車が必要
このような場合は、ETC車載器を新セキュリティ規格対応のものへ交換し、引き続き同じ車を使うという選択も現実的です。
ただし、今後の維持費や突発的な修理リスクも踏まえたうえで判断することが大切です。
乗り換え・売却・廃車という判断
一方で、車の年式が古い場合や、すでに維持費の負担を感じている場合は、ETC問題をきっかけに車そのものを見直すという考え方もあります。
| 車の状態 | 検討しやすい選択肢 |
|---|---|
| 比較的新しく、需要がある | 中古車として売却 |
| 年式は古いが自走可能 | 買取・下取りを比較 |
| 長期間使用・故障が多い | 廃車手続き |
特に古い車の場合、「価値がない」と思われがちですが、廃車として引き取ることで費用を抑えられるケースもあります。
ETC2030年問題は、単なる制度変更ではなく、車にこれ以上お金をかけるべきかどうかを冷静に考えるタイミングともいえます。
次の選択によって、維持費や手間を大きく減らせる可能性があります。
使わなくなった車・古い車の整理方法
中古車として売却できるケース
ETC2030年問題をきっかけに車の使用頻度が下がったり、今後あまり乗らなくなると感じた場合は、中古車として売却できるかどうかを一度確認してみる価値があります。
一般的に、次のような車は中古車として売却できる可能性があります。
- 自走可能で大きな故障がない
- 年式は古くても走行距離が比較的少ない
- 需要のある車種(軽自動車・商用車など)
- 車検が残っている
ただし、年式が古くなるほど中古車市場での評価は下がりやすく、思ったより価格がつかないケースも少なくありません。
その場合は、無理に売却にこだわらない判断も必要になります。
廃車でも価値がつく理由
「古い車=処分費用がかかる」と思われがちですが、実際には廃車として価値がつくケースも多くあります。
廃車には、次のような評価ポイントがあります。
| 評価されるポイント | 理由 |
|---|---|
| 鉄・アルミなどの資源 | 解体後に再資源化できる |
| まだ使える部品 | 中古パーツとして流通する |
| 海外需要 | 年式が古くても輸出向け需要がある |
]
そのため、走らなくなった車や車検切れの車でも、引き取り費用がかからず、買取対象になることがあります。
ETC2030年問題を機に車を手放す場合は、「中古車」「廃車」という枠にとらわれず、
一番手間と費用がかからない方法を選ぶことが重要です。
ETC2030年問題は「車を見直すタイミング」
早めに確認・行動するメリット
ETC2030年問題は、現時点で「いつから使えなくなる」と明確に決まっているわけではありません。
しかし、だからこそ早めに自分の車の状況を把握しておくことが重要です。
事前に確認・行動しておくことで、次のようなメリットがあります。
- ETCトラブルによる急な不便を避けられる
- 買い替えや売却の選択肢を冷静に比較できる
- 繁忙期を避けて手続きを進められる
- 不要な出費を抑えやすい
特に車の年式が古い場合、ETCだけを交換したあとに別の不具合が見つかることも珍しくありません。
ETC2030年問題は、車全体を点検・見直すきっかけとして捉えると、結果的に負担を減らせる可能性があります。
費用や手間を抑えるための考え方
ETC対応や車の今後を考える際は、「とりあえず対応する」よりも、最終的に何が一番合理的かを考えることが大切です。
| 状況 | 考え方のポイント |
|---|---|
| 今後も長く乗る | ETC交換+定期的な点検 |
| 使用頻度が下がる | 売却や整理を検討 |
| 維持費が負担 | 廃車を含めた選択肢 |
ETC2030年問題は、単なる機器トラブルの話ではなく、「今の車にどこまでお金と手間をかけるか」を考えるタイミングです。
不要になった車や古い車は、放置するほど手間が増える傾向があります。
早めに整理方法を検討することで、費用を抑えつつスムーズに次のステップへ進むことができます。










