車の足回りから異音がするのはなぜ?発生する主な原因
車の足回りから異音が聞こえると、不安になる方も多いでしょう。これは車の「異常のサイン」である可能性が高く、放置してしまうと重大なトラブルにつながることもあります。まずは、足回りの構造や異音が起こる主な原因、そして音が発生しやすい状況について理解しておくことが重要です。
足回りの主な部品とは?
「足回り」とは、車のタイヤやブレーキ、サスペンションなど、走行や操縦性に関わる重要な部品群のことを指します。主に以下のような部品が含まれます。
- サスペンション(ショックアブソーバー・スプリングなど)
- ステアリング系(タイロッド・ラックなど)
- ブレーキ系(ディスク・パッド・キャリパーなど)
- ホイール・タイヤ
- ベアリングやハブ
- ブッシュ類(ゴム製の接続部品)
- アーム類(ロアアーム、アッパーアーム)
- スタビライザー・リンク
これらは常に路面の衝撃や力の負担を受けているため、摩耗や劣化が進むと異音の原因になります。
異音が発生する代表的な原因一覧
足回りから異音がする場合、以下のような原因が考えられます。
原因部位 | 考えられる異音 | 主な原因 |
---|---|---|
サスペンション | コトコト、ギシギシ | ショックアブソーバーの劣化、ブッシュの摩耗 |
ブレーキ | キー、ゴー | パッドの摩耗、ローターの歪み、キャリパーの固着 |
タイヤ・ホイール | ゴロゴロ、カタカタ | ナットの緩み、ベアリング異常、バランス不良 |
ステアリング系 | ギギギ、キュッ | タイロッドの緩み、潤滑不足 |
エンジンマウント | ガタガタ、ドン | マウントゴムの劣化、締め付け不良 |
異音の種類や場所によって原因が異なるため、音を正確に聞き取り、タイミングや部位を絞り込むことが診断の鍵となります。
異音が出やすいタイミング(走行時・カーブ・段差など)
異音は「いつ」「どんなときに」発生するかが重要な手がかりになります。よくある発生タイミングは以下の通りです。
- 走り出し・低速時:コトコト音→サスペンションやブッシュ劣化
- 段差や舗装の悪い道を通過時:ドン、ガタガタ→ショックアブソーバーのへたり
- カーブやハンドルを切ったとき:ギギ、キュキュ→ステアリング系やブッシュの摩耗
- ブレーキ時:キー、ゴー→ブレーキパッドの摩耗やローター不具合
- 高速走行中:ゴロゴロ音→ホイールベアリングやハブの異常
「音の種類」だけでなく、「発生する状況」を記録しておくと、整備士が原因を特定しやすくなります。
サスペンションからの異音の原因と対策
サスペンション系の異音は、段差を越えるときや曲がるときに「コトコト」「ギシギシ」といった音が出ることが特徴です。これはショックアブソーバーの油漏れや内部の摩耗、ゴムブッシュのひび割れや劣化によって発生します。
対策としては、部品の経年劣化が進んでいる場合は交換が必要です。部分的な交換も可能ですが、走行距離が多い車両では左右セットや一式での交換が勧められることもあります。
ブレーキ周辺の異音が発生する原因
ブレーキからの異音は、「キー」「ゴー」「シャー」という金属音やこすれる音が特徴です。主な原因には以下が挙げられます。
- ブレーキパッドの摩耗
- ローターの歪み・サビ
- キャリパーの固着やグリス切れ
早めにパッドやローターの状態を点検・交換することで、ブレーキ性能の低下やさらなる部品の損傷を防げます。
タイヤやホイールによる異音の可能性
「ゴロゴロ」「カタカタ」といった音は、タイヤやホイールに原因があるケースもあります。以下の点を確認しましょう。
- ナットの緩み
- ホイールバランスのズレ
- タイヤの変形・偏摩耗
- ホイールベアリングの劣化
特にホイールベアリングの異常は、放置すると走行中にタイヤがロックしたり脱落するリスクもあり、非常に危険です。
シャーシと関連部品からの異音の見分け方
「車体下からのギシギシ音」や「段差での異音」は、シャーシ(車体骨格)とその周辺の取付部品に問題がある可能性もあります。
- ボルトやブラケットの緩み
- サブフレームのゆがみ
- スタビライザーリンクの破損
定期的な下回り点検でこうした異常を早期発見することが、足回りの静粛性と安全性を維持するポイントです。
エンジンマウントが原因の異音について
エンジンマウントは、エンジンの振動を吸収するゴム部品です。劣化すると、走行中や発進時に「ガタガタ」「ドン」という大きな音や振動を感じることがあります。
マウントのゴムが硬化・亀裂・潰れなどを起こすと、エンジンとボディの間で直接振動が伝わってしまい、異音の原因になります。特に10万kmを超える車両では点検・交換をおすすめします。
異音の種類別|考えられる原因と修理の目安
足回りからの異音は、その音の「種類」からある程度の故障箇所や症状を特定する手がかりになります。それぞれの異音ごとに、考えられる原因と修理の目安を解説します。
コトコト・カタカタ音:サスペンションやブッシュの劣化
段差を通過したときや低速走行中に「コトコト」「カタカタ」といった軽い打撃音が聞こえる場合、サスペンションの構成部品、特にブッシュの劣化やリンク部品のガタつきが原因であることが多いです。
【主な原因】
- スタビライザーリンクのジョイントのガタつき
- ロアアームブッシュやアッパーアームブッシュの劣化
- ショックアブソーバーのヘタリや内部異常
【修理の目安】
- 部品の交換費用は1〜3万円(片側)、両側だと倍程度
- 劣化部品を見つけたら左右セット交換が基本
ギシギシ・キュッキュ音:ゴム部品の摩耗・潤滑不足
車がカーブを曲がるときや車体が傾いたときに「ギシギシ」「キュッキュ」といったきしむ音がする場合、ゴムブッシュの摩耗や潤滑不足による摩擦音であることが多いです。
【主な原因】
- アッパーマウントブッシュの劣化
- ゴム製スタビライザーブッシュの硬化
- サスペンション部品間の潤滑不良
【修理の目安】
- ブッシュの交換は1か所あたり5,000円〜1万円程度(工賃含まず)
- 潤滑剤による一時的な対応も可能だが、根本的には交換が必要
ゴトゴト・ドンッと響く音:ショックアブソーバー・アームの劣化
大きな段差を越えた際に「ゴトゴト」「ドンッ」という鈍い衝撃音がする場合、ショックアブソーバーの機能低下やアームのガタつきが疑われます。音だけでなく、乗り心地の悪化や車体の揺れが収まらないなどの症状も併発します。
【主な原因】
- ショックアブソーバーのオイル漏れ・内部摩耗
- ロアアームやアッパーアームのボールジョイントの劣化
- ストラットマウントの損傷
【修理の目安】
- ショックアブソーバー交換:片側1.5〜3万円、前後セットで10万円前後になることも
- アーム類の交換:部品代+工賃で片側1〜3万円程度
キーン・ウィーン音:ベアリングや駆動系のトラブル
走行中に「キーン」「ウィーン」という高音の金属音が続く場合は、ホイールベアリングやドライブシャフト、ハブなどの回転部に問題が発生している可能性があります。特に速度とともに音が大きくなる場合は要注意です。
【主な原因】
- ホイールベアリングの摩耗
- ハブユニットの不具合
- ドライブシャフトのジョイント劣化(グリス漏れ含む)
【修理の目安】
- ホイールベアリング交換:片側1万5,000円〜3万円
- ハブベアリングユニット交換:部品代と工賃で3万〜5万円程度
- 駆動系の故障は放置すると走行不能に至るリスクも
異音を無視した場合の車への影響
異音が安全性に与える影響とリスク
足回りの異音は、多くの場合サスペンションやステアリング、ブレーキなど、安全走行に直結する部品の異常を示しています。これを放置して走行を続けると、次第に部品の遊びや摩耗が進行し、ハンドル操作が不安定になったり、ブレーキ性能が低下することもあります。最悪の場合、走行中に部品が破損して事故に繋がる危険性もあるため、異音は軽視できない重要な警告です。
周辺部品への二次被害
異音の原因となっている部品が劣化・損傷している場合、それを無視すると他の正常な部品にも負担がかかり、連鎖的に損傷を広げることがあります。たとえば、ベアリングの劣化を放置すれば、ハブやドライブシャフトにまでダメージが及ぶことも。また、ブッシュの劣化が進むと、サスペンションアームやタイヤの片減りにも影響し、修理範囲が広がる=費用がかさむという結果になりかねません。
燃費への影響とその理由
足回りの異常は、走行抵抗を増やす原因にもなります。例えば、ホイールアライメントが狂ったまま走行したり、サスペンションが適切に機能しない状態では、タイヤの転がり抵抗が増し、結果として燃費が悪化する傾向があります。また、異音の原因がブレーキ引きずりやベアリングの摩耗だった場合も同様に、エンジンに余計な負荷がかかるため燃費に悪影響が出ます。
放置することで修理費用がかえって高くなることも
異音の段階で修理すれば、数千円~数万円程度で済むケースが多いのに対し、放置して部品が破損したり他の箇所へ影響が出始めると、修理費用は数倍〜十万円単位に膨らむことがあります。例えば、初期のショックアブソーバーのオイル漏れを放置し続けると、最終的にはサスペンション全体の交換が必要になるケースもあります。これは時間とコストの両面で大きな負担となります。
早期発見がもたらす経済的メリット
異音を感じたら早期に点検・修理を行うことで、修理費用を最小限に抑えられるのはもちろん、車両の寿命そのものを延ばすことにも繋がります。特に足回りは定期的にチェックすることで、他の不具合にもいち早く気付けることが多く、結果としてトータルの維持費を抑えることが可能になります。「ちょっと音がするだけだから」と油断せず、違和感に気づいたらすぐに対処することが、長く安全に車に乗るための大きなポイントです。
異音が発生した場合の基本的な対処法
車から異音がしたとき、多くのドライバーは「何か問題があるのでは」と不安になります。しかし、慌てて行動するのではなく、まずは落ち着いて状況を確認し、適切な対応を取ることが大切です。
自分でできる異音発生原因確認ポイント(タイヤ・ナットの緩みなど)
まず最初に行いたいのは、自分で確認できる範囲のチェックです。例えば、足回りから「カタカタ」や「ゴトゴト」といった音が聞こえる場合、ホイールナットの緩みが原因であることがあります。車載工具を使ってナットの締め付けを確認してみましょう。
また、タイヤに異物(石や小枝など)が挟まっていないか、タイヤ自体に傷や変形がないかもチェックポイントです。可能であれば、車体の下をのぞき込み、目視で異常がないか確認しておくと安心です。
どの整備工場に相談すべき?タイミングと方法
異音が続いたり、自分で原因を特定できない場合は、早めに整備工場やディーラーに相談することが重要です。
相談すべき整備工場は以下のように選ぶとよいでしょう。
状況 | おすすめの相談先 | 理由 |
---|---|---|
購入したばかりの新車 | ディーラー | 保証対応や専門性の高い整備が可能 |
中古車・年式が古い車 | 民間整備工場 | 柔軟な対応や価格面でのメリットあり |
足回りの専門修理 | 足回りに詳しい整備工場やカーショップ | 詳細な診断が期待できる |
異音の種類・発生タイミング(例:カーブで鳴る、段差を超えたときなど)をメモして伝えると、診断の精度が高まります。
異音を自分で対策する前の注意点
YouTubeやDIY動画を参考にして、自分で修理を試みる方も増えていますが、足回りは車両の安全に直結する重要部位です。知識や工具が不十分な状態で触ると、かえって重大な故障や事故につながるリスクがあります。
例えば、ブッシュやショックアブソーバーの交換などには車体を持ち上げるリフトや特殊工具が必要で、締め付けトルクの管理も重要です。異音の対策を自分で行う場合は、作業内容をしっかり理解し、可能な範囲にとどめることが大切です。
緊急時の応急処置方法
高速道路や交通量の多い道路で異音が発生した場合は、まずは安全な場所に停車することが最優先です。停車後は、以下のような簡易チェックを行いましょう。
- タイヤの空気圧が著しく低下していないか
- ホイールのナットが外れていないか
- ブレーキ周りに異常がないか(焦げたような匂いがする場合は要注意)
問題の切り分けができない場合は、JAFや任意保険のロードサービスを利用するのが安全です。決して無理に走行を続けず、「いつもと違う」と感じたら停止・確認が鉄則です。
日頃からのメンテナンスで予防する方法
異音の予防には、日常点検と定期的なメンテナンスが最も効果的です。以下の点を習慣にすると、トラブルの早期発見・防止につながります。
- オイル・ブレーキフルード・足回り部品の定期点検
- タイヤの空気圧・摩耗チェック(毎月1回目安)
- 定期的なホイールナットの締め付け確認
- 異常を感じたときはすぐにプロに相談
特に、車検の合間に点検を受けていない車は、足回りの劣化に気づきにくい傾向があるため、半年に1度の簡易点検を受けることをおすすめします。
おすすめの修理業者選びのポイント
車の異音修理は専門性が高く、業者選びを誤ると不完全な修理や再発のリスクが伴います。特に足回りの異音は安全性にも直結するため、信頼できる修理業者を見極めることが重要です。
信頼できる業者を選ぶための基準
信頼できる修理業者には、いくつかの共通点があります。以下のような点をチェックしてみましょう。
- 国土交通省認証工場かどうか:一定基準の設備・技術を持つ工場である証明になります。
- 実績と口コミ:GoogleレビューやSNS、カーセンサーなどの口コミを参考に、評価の高い業者を選ぶと安心です。
- 説明が丁寧かどうか:異音の原因や修理内容をわかりやすく説明してくれる業者は信頼できます。
- 見積もりが明確:内訳のない見積書や「〇〇一式」とだけ記載されたものには注意が必要です。
「◯◯が原因かもしれませんが、まずは点検しましょう」といった段階的な説明をしてくれる業者が理想です。
修理費用の相場感(音の種類別に)
異音の原因によって修理費用は大きく異なります。以下に音の種類ごとの代表的な原因と、一般的な修理費用の目安を表にまとめました。
音の種類 | 主な原因 | 修理費用の目安(部品代+工賃) |
---|---|---|
コトコト・カタカタ | スタビライザー・ブッシュの劣化 | 5,000円〜20,000円 |
ギシギシ・キュッキュ | ゴム部品の摩耗・潤滑不足 | 3,000円〜10,000円 |
ゴトゴト・ドンッ | ショックアブソーバーやアームの劣化 | 15,000円〜50,000円/1本 |
キーン・ウィーン | ベアリングやハブの不良 | 10,000円〜40,000円/1輪 |
※あくまで目安のため、部品の種類や車種によって異なります。
専門技術と技術者の質の見極め方
足回りの修理には高い専門性が求められます。信頼できる技術者を見分けるためのポイントは以下の通りです。
- 国家資格(自動車整備士1〜3級)を持っているか
- 診断時に整備記録や異音の状況をきちんと聞き取るか
- 診断ツールや試乗を用いて原因を特定してくれるか
- 対応車種や整備歴の掲載があるか(工場HPや店頭)
また、「見なくても原因がわかる」という業者は注意が必要です。車の異音診断には試走や現物確認が不可欠だからです。
アフターサービスの確認項目
修理後の安心のためには、アフターサービスの内容も重要です。以下のようなサービスがあるか事前に確認しておきましょう。
- 修理保証の有無と期間(例:3カ月・6カ月など)
- 再発時の無料点検・再修理の対応方針
- 修理後の説明があるか(交換部品の提示や状態の説明など)
- 代車サービスや引き取りサービスの有無
修理費用が安くても、保証がない場合や再発時に追加費用がかかると結果的に割高になることもあります。「長く付き合える工場」かどうかという視点も大切です。
異音で悩んだ経験者の体験談
異音から始まった故障のエピソード
ある30代の男性は、走行中に「コトコト」と小さな音が聞こえ始めました。最初は段差を越えたときだけだったので気に留めませんでしたが、1カ月ほど経つと音が「ゴトゴト」に変わり、最終的にはサスペンションアームが破損。そのせいでホイールまで傷み、修理費用が20万円近くかかってしまったそうです。
早い段階で点検していれば、数千円のブッシュ交換で済んだかもしれないと悔やんでいました。
異音を修理して改善した事例
40代の女性ドライバーは、「キュッキュッ」と鳴る音が気になって整備工場へ相談。点検の結果、スタビライザーリンクのゴムが劣化していたことが判明しました。部品交換とグリスアップで、費用は1万円未満。修理後は静かな走行が戻り、早めの対応の大切さを実感したと語っています。
修理業者選びで失敗した体験談
ある男性は、異音の修理を格安業者に依頼したところ、原因の一部しか見つけられず、一時的に音が消えたものの、数週間で再発。その後、ディーラーに持ち込んだところ、本当の原因はベアリング不良だったことが判明しました。
最初からしっかりとした業者に相談していれば、二重に費用がかかることもなかったと後悔したそうです。
異音の正体を判明した成功例
車から「ギシギシ」ときしむような音が出ていたというケースでは、車好きなオーナーが自らジャッキアップして点検。結果、アッパーマウント周辺のゴム部品にひび割れがあるのを発見し、自動車整備士の知人と部品を交換。費用も抑えつつ、ピタリと異音が止まったとのことです。
自分で確認できる範囲を知っておくと、異音の正体を早期に特定できることもある良い例です。
異音体験談から学ぶ教訓
これらの体験から共通して言えるのは、「小さな異音でも放置しないこと」の重要性です。特に足回りや駆動系からの異音は、重大な故障や事故に繋がる可能性もあるサイン。また、信頼できる業者に早めに相談することが、結果的に修理費用を抑え、安心・安全なカーライフを送る近道になります。
異音が増えてきたら買い替えも検討?
車からの異音が増えてきた場合、それは単なる部品の不具合ではなく、車全体の「寿命のサイン」である可能性もあります。特に足回りに異常が多発するようになったら、修理か買い替えかの判断を冷静に行う必要があります。
長年使った車の足回りトラブルは寿命のサイン
車の足回りは、走行時の衝撃を吸収し、快適性と安全性を支える重要な部分です。しかし、長年にわたる使用や過走行によってサスペンション、ブッシュ、アーム、ショックアブソーバーなどが劣化していきます。
これらが同時多発的に故障し始めた場合、それは「足回り全体の寿命」に近づいている合図です。特に10年以上経過した車や走行距離が15万kmを超えた車で異音が頻発する場合は、個別修理よりも総合的な買い替え検討が現実的です。
修理より買い替えのほうが安くつくケースも
車に異音が出た際、まずは「修理すればまだ乗れる」と考える方が多いかもしれません。しかし、異音の原因が複数の部品にまたがっている場合や、車自体の年式が古くなっている場合には、修理を重ねることでかえって出費がかさむこともあります。
たとえば足回りの異音ひとつを取っても、ショックアブソーバー、ロアアーム、スタビライザー、サスペンションブッシュなど、さまざまな部品の劣化が重なっている可能性があります。これらを1カ所ずつ修理していくと、部品代と工賃だけで10万円を超えることも少なくありません。さらに、他の部位に不具合が出れば、その都度また費用が発生します。
また、年数が経った車ほど、修理後に別の部位が故障するリスクも高まります。つまり、一度の修理で完結しない可能性が高く、「直したのにまた音がする」という事態にもなりかねません。これでは、修理にかけた費用が無駄になることもあるのです。
一方で、買い替えであれば、車両本体価格に加えて新しい車なら保証がつくことも多く、修理費用に悩まされにくいというメリットがあります。燃費性能や安全装備も向上しており、維持費の面でもトータルでコストが抑えられる可能性があります。
とくに走行距離が10万km以上、年式が10年以上経過している場合は、修理するよりも将来的な安心感や経済性を考えて買い替えたほうが得策になることもあるでしょう。
古い車は高価買取や廃車引取も視野に
「もう走れない」と思っても、古い車にはまだ価値があることがあります。特にディーゼル車や商用バン、人気の軽自動車などは、輸出需要やパーツ取り目的で高価買取されるケースも多いです。
また、動かなくなった車でも「廃車買取業者」に依頼すれば、レッカー引取無料・還付金付きで手放せることも。買い替え時期が近づいていると感じたら、査定や廃車サービスの比較をしておくと、意外な高値がつく可能性もあります。
異音が増えた=即廃車」というわけではありませんが、修理歴・使用年数・走行距離を総合的に判断し、「費用対効果の高い選択」をすることが、カーライフを快適に保つコツです。