フォグランプはどんな目的で使うもの?
霧や豪雨時の視認性確保が本来の目的
フォグランプ(fog lamp)はその名のとおり、霧や大雨、雪などで視界が悪化したときに使う補助灯です。
通常のヘッドライトでは光が霧や雨粒に反射して前方が見えにくくなることがありますが、フォグランプは低い位置から広範囲に拡散光を照射するため、路面や車線の視認性を高めてくれます。
特に霧が濃い状況では、通常のヘッドライト(特にハイビーム)が逆に視界を悪化させることがあるため、フォグランプが重要な役割を果たします。つまり、ドレスアップ目的ではなく、「悪天候時の安全な走行」をサポートするのが本来の用途です。
フォグランプとドライビングランプの違いとは?
混同されやすいのがドライビングランプ(補助前照灯)との違いです。
どちらも補助灯ではありますが、目的や照射範囲が異なります。
項目 | フォグランプ | ドライビングランプ |
---|---|---|
主な目的 | 悪天候時の視界確保 | 長距離・高速走行時の前方照射補助 |
照射範囲 | 幅広く近距離を照らす | 遠方をスポット的に照らす |
使用タイミング | 霧・豪雨・降雪時 | ハイビームと併用して使う場合も |
取付位置 | 低い位置(バンパー付近) | ヘッドライトの上下やグリル上部など |
ドライビングランプは基本的に「夜間の見通し向上」のための補助であり、フォグランプのように悪天候専用ではありません。保安基準でもそれぞれ別の区分として扱われているため、使用目的を誤らないよう注意が必要です。
運転マナーや安全面から見る適切な使い方
フォグランプは強い光を放つため、使用する場面を誤ると他車への眩惑(まぶしさ)を与える原因になります。
特に晴天時や交通量の多い市街地で常時点灯していると、「迷惑運転」と思われてしまうことも。
以下のようなマナーと使用ルールを守ることが、安全運転の基本です。
- 必要なときだけ点灯(霧・雨・雪など)
- 対向車がいる場面では消灯が望ましい
- リアフォグは後続車への眩惑に注意(後方視界が悪いときのみ)
- 点灯状態のままエンジンを再始動しないよう意識する(意図せず常時点灯になることを防ぐ)
最近の車では自動点灯機能付きもありますが、マニュアル操作で適切にオン・オフする意識が重要です。
フォグランプの取り付け位置と個数の保安基準
前部フォグランプの取り付け位置
前部(フロント)フォグランプの取り付け位置には、道路運送車両の保安基準により以下のような条件があります。
- 高さ:地上250mm以上・800mm以下(※普通乗用車)
- 左右対称に設置すること(原則)
- 車体の最外側から400mm以内に収まっていることが望ましい
また、他の灯火類(ヘッドライトやウインカー)との干渉を避け、他の車両への眩惑を防ぐよう角度や向きも配慮する必要があります。取り付け位置が高すぎたり角度が上向きすぎると、車検不適合や違法改造とみなされる可能性があります。
後部フォグランプ(リアフォグ)の取り付けルール
リアフォグランプは、霧や豪雪などで後方からの視認性を高めるための保安部品ですが、以下のような取り付け制限があります。
- 設置は1個のみでも可(片側設置OK)
- 対向車ではなく後続車に向けて照射するため、極力まぶしくない位置に
- 地上250mm以上・1,000mm以下が目安
リアフォグは特に過度な明るさで後続車の視界を妨げると、迷惑・違反になるケースもあるため、点灯タイミングと設置位置には慎重さが求められます。
フォグランプの個数は何個まで?左右対称でないとNG?
保安基準では、前部フォグランプは左右1個ずつ、計2個までが原則です。3個以上の取り付けは基本的に認められておらず、車検でも不適合と判断される可能性があります。
また、片側のみの装着や非対称の配置も原則NGです(例外的に軽トラや一部特殊車両は除く)。装飾やファッション目的で複数の補助灯を取り付ける場合も、点灯できるのは基準に合った個数のみという点に注意が必要です。
取り付けのための車種別ガイドライン
車両の種類によって、取り付け位置や条件は多少異なります。以下は代表的な車種別の傾向です。
車種 | 傾向・注意点 |
---|---|
普通乗用車 | 一般的な保安基準を遵守すればOK |
軽自動車 | 車高が低いため、高さ制限に注意 |
SUV・4WD | バンパー位置が高めなため、取り付け角度に配慮が必要 |
商用バン・トラック | フォグランプの装着が義務づけられていない場合もあるが、規定を満たせば追加可能 |
社外バンパー装着車などは、フォグランプの高さや角度が基準から外れるケースもあるため、カスタム時には要確認です。
車検時にチェックされるポイントとは
フォグランプに関して、車検でチェックされるのは主に以下の点です。
- 保安基準に合った高さ・角度・個数で設置されているか
- 点灯状態が正常で、明るすぎないか・色が規定に合っているか
- 他の灯火類と干渉せず、視認性や安全性を損なっていないか
また、使用しない場合でも設置されていれば保安基準の対象となります。つまり「点灯しないから関係ない」ではなく、「付いているだけで違反とされるケースもある」という点は注意が必要です。
フォグランプの点灯条件と使用ルール
フォグランプはいつ使っていいの?使用条件の誤解に注意
フォグランプは、「常時使ってもOK」と誤解されがちですが、保安基準上はあくまで悪天候時の補助灯です。
使用が許されるのは、次のような視界が悪い状況に限定されます。
- 濃霧、豪雨、降雪などにより前方視界が著しく低下しているとき
- 夜間で周囲が暗く、なおかつヘッドライトだけでは見づらい状況
晴天時やクリアな夜道では、むしろ他車への眩惑となり、違反になる可能性があるので注意が必要です。
晴天時・トンネル内での点灯はNG?
はい、基本的にNGです。
晴れた日中や市街地、短距離のトンネル内など、視界に問題のない環境でのフォグランプ点灯は、保安基準違反になる恐れがあります。とくにリアフォグ(後部霧灯)は光量が強いため、後続車にとって眩しく危険です。
道路運送車両法では「他人に不快の念を与える灯火装置」は違反の対象となるため、「見た目がかっこいいから点けっぱなし」という使い方はNGです。
昼間と夜間での使い分け
フォグランプの使用は、昼夜を問わず視界不良時に限って許されます。
ただし、夜間であっても天候が良く明るい道路状況であれば、点灯の必要はありません。以下は使い分けの一例です。
状況 | 点灯の判断 |
---|---|
晴天の昼間 | × 点灯不要・違反リスクあり |
夕暮れや曇天 | △ 周囲の明るさによってはOK |
濃霧や大雨の昼間 | ○ 点灯推奨 |
雨天の夜間 | ○ 周囲の見え方に応じて点灯 |
晴天の夜間 | △ 基本は不要、山道や暗所では補助的に活用可 |
※必要ない場面でのリアフォグ使用は、特に注意が必要です。
フォグとヘッドライトの同時点灯ルール
多くの車では、ロービームとフォグランプの併用は可能です。
一方で、ハイビームとフォグを同時点灯できない車もあり、これは「前照灯との併用に関する保安基準の制限」によるものです。
また、リアフォグランプについては、ヘッドライト点灯中のみ使用可能とされているケースが多く、単独点灯できない設計が一般的です。
これは不意な眩惑を避けるための安全配慮によるもので、使用タイミングが不適切な場合は車検で不適合となることもあるため要注意です。
色と明るさの規定|意外と知らない基準
フォグランプの色は白または黄のみ!青や赤は違反?
道路運送車両の保安基準では、前部霧灯(フロントフォグ)の色は「白または淡黄色(イエロー)」のみ許可されています。つまり、
- 白 … OK
- 淡黄色(レモンイエロー等)… OK
- 青、赤、緑、紫 … NG(違反対象)
特に青や赤のフォグランプは、緊急車両と誤認される恐れがあるため違反となりやすいです。
また、LEDチューブなどで装飾的に光らせるタイプも、色味によっては「灯火類」と判断され、違法改造扱いになることがあります。
明るすぎるLED・HIDは基準超過の可能性あり
社外品フォグランプにLEDやHIDを使うユーザーが増えていますが、注意すべきは光の強さ(光度)と配光設計の適合性です。
- 光量が強すぎると、「前照灯と誤認される」可能性があり、保安基準違反になる場合があります。
- 適合していないHIDキットや激安LEDフォグなどは、照射方向や光軸が乱れていて、他車にまぶしさを与えることも。
明るさそのものよりも、「他車に迷惑をかけない正しい照射設計」が求められており、車検対応マーク(Eマーク等)や明るさの適正性を確認することが重要です。
社外品の光量・照射範囲と保安基準の関係
社外品のフォグランプを選ぶ際は、「見た目」より「基準適合」が最優先です。具体的には次のような保安基準が関係します。
- 光が拡散しすぎず、一定の照射範囲内に収まっていること
- 対向車への眩惑を防ぐためのカットライン(照射範囲の上限)があること
- 正面から見たときに過度に明るくないこと
基準を満たしていないと、車検で不合格になるだけでなく、違反として取り締まりを受ける可能性もあります。
「車検対応」と記載されていても、装着方法や角度によっては基準から外れることもあるため、取り付け時の調整も重要です。
保安基準違反になるフォグランプの例と罰則
違法カスタムで実際に車検NGになったケース
フォグランプの違法改造は見た目ではわかりづらく、車検時に初めて「不適合」と判定されるケースも多々あります。
よくあるNG例は以下の通りです。
- 青色LEDのフォグランプを装着 → 色の基準違反で不合格
- 光量が強すぎる社外HID → 光軸・照射範囲が規定外
- 取り付け高さが800mm超え → 高さ制限オーバー
- 片側だけのフォグランプ → 左右対称でないためNG
これらのケースでは、車検に通すために再交換や再調整が必要となり、二度手間や追加費用の原因にもなります。
「車検対応」と記載された商品であっても、取り付け方次第でNGになることもあるため注意が必要です。
違反による罰金と点数の解説
保安基準に違反したフォグランプを装着・点灯して走行した場合、道路運送車両法および道路交通法に基づき処罰の対象となります。
- 違反の内容により、反則金6,000円〜9,000円(普通車)
- 整備不良として1点の違反点数が加算されることも
- 違反が悪質と判断された場合は整備命令・使用停止命令が出る可能性あり
特にリアフォグの誤使用は、後続車の事故を誘発しかねないため、より厳しく取り締まられる傾向にあります。
見た目重視の改造が、安全性や法令順守を損なってしまわないよう、あらかじめ基準を確認しておくことが重要です。
警察に止められる可能性のある装着例とは
フォグランプの使用状況によっては、警察に停止を求められたり、注意・指導・切符を切られるケースもあります。特に以下のような装着・使用例は要注意です。
- 青・赤・紫などのフォグランプを点灯して走行
- 晴天時にリアフォグを常時点灯させている
- 無認証の極端に明るいLEDを使っている(他車への眩惑)
- フォグを3灯以上つけている(保安基準では2灯まで)
こうした場合、警察官から「整備不良車両」として停止を求められるだけでなく、口頭指導や違反切符が交付されることも。特に高速道路や夜間の山道などでは、見た目が派手な灯火が目立ちやすいため注意が必要です。
フォグランプのカスタム時の注意点
カスタムフォグランプの選び方
カスタムでフォグランプを交換・追加する際は、単に「明るさ」や「デザイン」だけで選んでしまうと、保安基準違反や車検不適合になるリスクがあります。選定時のポイントは以下のとおりです。
- 白または淡黄色の発光色かどうか(青・赤はNG)
- メーカーや販売元が明示する「保安基準適合」の記載の有無
- 照射角度や光量が「補助灯」として適切か(明るすぎないか)
- 車種に合わせた取り付け高さや幅が確保できるか
特に安価な海外製品では、「極端に明るい」「カットラインがない」「防水性に欠ける」などの不備が多く、実用にも法規にも適さないことがあります。
「保安基準適合」と書かれていても要注意な理由
「車検対応」「保安基準適合」と表記されている商品でも、取り付け方法や調整次第で基準を外れるケースがあります。
例えば
- 実際の取付位置が800mmを超えてしまっている
- 配線加工でフォグとハイビームが同時点灯しない設計を変更してしまう
- 光軸がズレていて対向車を眩惑する仕様になっている
このように、製品自体は基準内でも、装着状態によっては違反となることがあるため、最終的には「現車での確認」が不可欠です。
車検対応フォグランプの選び方と確認方法
車検を通すためには、フォグランプが保安基準に準拠しているだけでなく、整備士によるチェックにも適合している必要があります。以下のチェックポイントで選びましょう。
確認項目 | 内容 |
---|---|
色 | 白または淡黄色のみ(JIS規格に適合) |
明るさ | 片側300cd以下が目安(まぶしすぎるとNG) |
カットライン | 明確にあること。上方向への光が少ない設計 |
認証マーク | Eマーク、JISマークなどの適合証明があるか |
メーカー信頼性 | 国内正規流通・実績のあるメーカーを選ぶ |
取り付け後は、光軸や高さ、点灯条件が車検基準に合っているか、プロにチェックしてもらうのが確実です。
不安な場合はプロに相談を!
車検前点検で指摘されやすいフォグ周りのチェック項目
フォグランプは外観パーツであると同時に「保安基準の対象部品」でもあり、車検時には厳しくチェックされる項目です。以下のような点が特に指摘されやすいため、事前に確認しましょう。
- 色が白または淡黄色であるか(青や赤はNG)
- 左右対称に2灯取り付けられているか(片側1灯はNG)
- 高さが規定内(地上250mm〜800mm程度)に収まっているか
- 光軸が上向きすぎないか(眩惑の恐れ)
- スイッチや点灯条件が適正か(ハイビーム連動の制御など)
不安がある場合は、整備工場やカー用品店での事前点検を受けておくと安心です。
カスタム派も安心!保安基準を守って個性を演出しよう
カスタム=違法、というわけではありません。基準を守りつつ、スタイリッシュで機能的なフォグカスタムを楽しむことも可能です。
例えば
- 明るすぎない「JIS規格対応LEDフォグ」で安全性と見た目を両立
- 純正フォグのユニット交換で黄→白のイメチェン
- フォグベゼルに装飾を加えて個性を演出(光源はそのまま)
カスタムにこだわるなら、「車検対応品」を選びつつ、点灯方法や取付角度に注意を払えば、安心して合法カスタムができます。
違反リスクがあるなら、廃車や乗り換えも視野に?
もしフォグ周りだけでなく、車全体に改造歴が多く、基準適合が困難な場合は、修正にかかるコストや手間が増える一方です。
特に以下のようなケースでは「車検を通すよりも、廃車や乗り換えのほうが得策」な場合もあります。
- 古い車で、他にも修理箇所が多い
- 違法改造箇所が複数あり、戻すのに高額な費用がかかる
- 廃車買取や事故車買取で値段が付く可能性がある
「フォグランプだけのつもりが、他にもNG箇所が…」という場合は、買取専門業者に相談して廃車・乗り換えの選択肢も検討しましょう。