1. そもそもフェンダーとは?基本の役割と種類
車に詳しくない方にとって、「フェンダー」と聞いてもピンとこないかもしれません。ですが、フェンダーは車のボディパーツの中でも意外と目立ち、しかも走行性能や安全性にも関わる重要な部位です。ここでは、フェンダーの基本から種類・役割・素材の違い、さらにはカスタムの最新トレンドまでを詳しく解説します。
1.1. フェンダーの位置と見た目
フェンダーとは、車のタイヤ部分を囲むように取り付けられているパネルのことで、一般的には「前輪」「後輪」の上に張り出しているボディ部分を指します。日本語では「翼子板(よくしかん)」と呼ばれることもあります。
多くの車では、フロントフェンダーがドアとボンネットの間に、リアフェンダーが後部座席の横からリアバンパーまでに配置されており、車のシルエットやデザインを決定づける要素の一つでもあります。
1.2. フェンダーの役割(泥はね防止・空力・衝撃吸収など)
フェンダーの最大の役割は、「タイヤが巻き上げる泥や小石、水しぶきなどの飛散を防ぐこと」です。これがないと、雨の日には自車のボディが泥まみれになり、後続車や歩行者にも汚れが飛んでしまいます。
加えて、フェンダーは空気の流れ(エアロダイナミクス)を整え、走行時の空力抵抗を抑える役割も担っています。特にスポーツカーでは、フェンダーの形状がダウンフォースや燃費に影響することもあります。
さらに、万一の接触や衝突の際には衝撃を吸収・分散する役割もあり、車両の損傷範囲を抑える働きもあります。
1.3. フロント・リアフェンダーの違い
車には前後のタイヤそれぞれにフェンダーがありますが、取り付け方や役割に違いがあります。
- フロントフェンダーは、主にエンジンルーム外側に配置されており、取り外しや交換が比較的しやすい構造です。事故などで損傷しやすい部位でもあり、板金修理の対象になることが多いです。
- 一方のリアフェンダーは、車体と一体成型されていることが多く、交換には溶接やカット作業が必要なケースもあります。そのため、フロントに比べて修理・交換の手間と費用が大きくなりがちです。
どちらも車検時のチェック対象であり、破損や錆びを放置しておくと保安基準に違反して不合格になる可能性もあります。
1.4. 素材の違い(鉄・FRP・プラスチックなど)
フェンダーに使われる素材には、耐久性・軽量性・加工性などの観点から複数の種類があります。
- スチール(鉄)製は、昔ながらの素材で頑丈ですが、サビやすいというデメリットがあります。板金修理がしやすいという利点がありますが、重量はやや重めです。
- アルミ製は軽くて錆びにくいですが、加工には技術が必要で、板金修理には不向きな場合も。高級車などに多く採用されています。
- FRP(ガラス繊維強化プラスチック)やABS樹脂製のフェンダーは、軽量かつデザインの自由度が高いため、社外パーツやカスタムカーでよく使用されます。ただし、衝撃にはやや弱く、割れやすいという欠点があります。
車の使用用途やデザイン性、コストを考慮して、素材が選ばれているのです。
1.5. カスタムフェンダーのトレンド
近年、カスタムカー文化の影響で「ワイドフェンダー」や「オーバーフェンダー」といった見た目のインパクトを強調するカスタムフェンダーが人気を集めています。
これらは単にデザイン性を向上させるだけでなく、大径タイヤやワイドタイヤを装着する際に車検対応のための“フェンダー拡張”としても利用されます。
また、ドリフトカーやサーキット仕様車では、軽量化や整備性を重視してFRP製の取り外し式フェンダーを採用するケースも増えています。
一方で、公道使用の車両ではフェンダー形状に関する保安基準が存在し、基準を超えたワイド化は車検非対応になる可能性も。カスタムを行う際は、見た目だけでなく法令とのバランスを意識することが重要です。
2. 車のフェンダーが損傷する原因とは?
車のフェンダーは、タイヤのすぐ外側に位置するパーツであり、走行中や駐車中に最もダメージを受けやすい部分のひとつです。普段の運転で「つい、やってしまいがち」なシチュエーションも多いため、今後の対策としてもぜひ参考にしてください。
2.1. 事故や接触によるへこみ
もっとも多い損傷原因が、「他の車や障害物との接触」によるへこみや変形です。
狭い道路や駐車場でのすれ違い、バック時の不注意などにより、バンパーとともにフェンダーが衝突してしまうケースがよくあります。
フロントフェンダーは特に交差点での右左折時や車幅感覚のズレでぶつかりやすい位置にあるため、軽い接触でもへこみや歪みが生じることがあります。
2.2. 縁石や段差でのこすり傷
縁石にタイヤを寄せすぎたり、歩道と車道の段差を無理に乗り越えたりすると、フェンダー下部や内側が擦れて傷つくことがあります。これらは運転席からは見えづらいため、「知らない間に傷が付いていた」ということも珍しくありません。
また、車高が低めの車両やローダウン仕様車は、道路の凹凸による接触リスクが高くなるため要注意です。
2.3. 経年劣化やサビ・腐食
鉄製フェンダーは、長年使用しているうちに塗装のひび割れや水分の侵入が原因でサビが発生することがあります。
特に雪国や海沿い地域では、融雪剤や潮風の影響で腐食が進行しやすく、外見上は小さな傷でも内部で大きく錆びていることも。
サビが進行すると、フェンダーがボロボロに崩れてしまうケースもあり、そうなると補修では済まず、パネル交換が必要になります。
2.4. 災害・飛び石・自然トラブル
突発的な自然現象による損傷も、フェンダーにダメージを与える原因です。
- 高速走行中にタイヤが巻き上げた飛び石が当たる
- 台風や強風で飛ばされた物が直撃する
- 落ち葉や泥が詰まり、内部で湿気がこもってサビる
- 鳥のフンや樹液が塗装を腐食させる
こうした「自然由来のトラブル」は避けようがない部分もありますが、洗車や点検をこまめに行うことである程度は予防が可能です。
3. フェンダー修理・交換が必要なケース
車のフェンダーに傷やへこみがあると、見た目だけでなく安全性や機能面にも影響を及ぼすことがあります。ただし、損傷の程度によっては、修理が不要な場合も。
3.1. 軽微な擦り傷やへこみだけの場合
「壁に少しこすってしまった」「駐車場の柱に当たった」など、比較的軽度なダメージであれば、修理せずに様子を見るという判断も可能です。ただし、塗装が剥げている場合はサビの原因になるため、できるだけ早めに対処した方がよいでしょう。
以下は、よくある軽微な損傷と対応方法の目安です。
状況 | 推奨対応 | 費用目安 |
---|---|---|
小さな擦り傷のみ | タッチアップ補修 | 数百円〜数千円 |
表面塗装の剥がれ | 部分塗装 | 1万〜2万円程度 |
小さいへこみ(5cm以内、塗装割れなし) | デントリペア | 8,000円〜15,000円程度 |
複数の浅いへこみや擦れ | 軽板金+塗装 | 2万〜3万円前後 |
小さなキズやへこみでも、放置すると錆や劣化につながる可能性があります。見た目の美観を保ちたい方にも、早めの補修がおすすめです。
3.2. 走行に支障があるレベルの損傷
もしフェンダーが大きく曲がっていたり、タイヤやドアと干渉しているような状態であれば、それは安全面でも放置できないレベルの損傷です。
たとえば以下のようなケースです。
- フェンダーがタイヤと擦れて異音がする
- ドアを開けたときにフェンダーと接触する
- フェンダー内部に脱落パーツや鋭利な変形がある
こういった場合は、以下のような対応が求められます。
状況 | 推奨対応 | 費用目安 |
フェンダーの大きなへこみ・変形 | 板金+補強 | 3万〜5万円程度 |
内部パーツ破損やタイヤとの接触 | フェンダー交換 | 5万〜10万円前後 |
周辺の配線やセンサーへの影響がある場合 | 一式点検+交換 | 状況により変動(10万円以上の場合も) |
安全性・走行性能に関わる損傷は早急な対処が必要です。費用はかかりますが、放置するとさらなる修理費用や事故のリスクに繋がるため、早めの対応をおすすめします。
3.3. 見た目の問題・車検への影響
フェンダーの損傷は、見た目だけでなく車検の合否にも影響する場合があります。たとえば以下のようなケースでは、車検に通らないこともあるため注意が必要です。
状況 | 車検の影響 | 推奨対応 |
鋭利な突起(人にケガをさせる恐れあり) | ❌ 不合格 | 交換または補修 |
フェンダーの一部が脱落している | ❌ 不合格 | 修復または交換 |
サビや腐食により大きな穴があいている | ❌ 不合格の可能性あり | 部品交換 |
塗装が一部剥げていて見た目が悪い | ⭕ 合格可能(軽微なら) | 補修は推奨 |
フェンダーが破損したまま車検に出すと、「安全性」「外観基準」「保安基準」に違反して不合格になる可能性もあります。車検前には一度チェックを。
4. フェンダー交換・修理の方法と費用
車のフェンダーが損傷した場合、修理で済むのか、まるごと交換すべきか悩む方は多いものです。損傷の程度によって対応方法は大きく異なり、費用にも差が出ます。
4.1. 板金修理と交換の違い
フェンダーの損傷に対する一般的な対処方法は、大きく分けて「板金修理」と「パーツ交換」の2通りです。
板金修理は、変形したフェンダーをたたいたり引っ張ったりして元の形に戻し、表面を整えて塗装を施す方法です。
小さなへこみや擦り傷ならこの方法で十分対応でき、パーツ代がかからないため費用を抑えられるのがメリットです。
一方で、損傷が大きい場合や素材がアルミ・FRPなどで加工が難しい場合は、フェンダーそのものを交換した方が早くて確実です。交換の場合は部品代が発生しますが、作業は比較的スムーズに進み、仕上がりも新品同様になります。
4.2. 修理・交換にかかる費用の目安
修理・交換にかかる費用は、損傷の度合いや車種、素材によって異なりますが、一般的な費用帯は以下の通りです。
- 軽度の擦り傷・へこみ(板金修理):1万円〜3万円程度
- 中〜程度のへこみ+再塗装:3万円〜5万円程度
- フェンダー交換(部品代+工賃込み):5万円〜10万円程度
外車や高級車、特殊な素材(カーボン・アルミ)を使用したフェンダーの場合、部品代だけで数万円〜十万円以上かかることもあります。
4.3. ディーラー・整備工場・板金専門店の費用比較
修理や交換を依頼する先によって、価格帯や対応の質に違いがあります。
- ディーラーは、純正部品を使用し、仕上がりも高品質ですが、費用は最も高くなる傾向にあります。新車保証や延長保証が効くケースもあります。
- 街の整備工場は、価格が比較的リーズナブルで、中古部品の使用など柔軟な提案も可能。ただし、工場によって技術差があるため、事前に評判の確認が必要です。
- 板金専門店は、へこみ・傷に特化しているため、軽板金であればディーラーよりも高品質かつ安価に仕上げられる場合もあります。急ぎの修理にも対応してくれることが多いです。
費用を抑えたい場合は、複数の業者から見積もりを取って比較するのがおすすめです。
4.4. 保険が使えるケースと注意点
フェンダー修理には、車両保険が適用される場合もあります。
- 自損事故(縁石にぶつけた等)
- 他車との接触事故
- 災害による損傷(飛来物・台風など)
こういったケースでは、車両保険に加入していれば修理費用を保険でカバー可能です。
ただし、注意すべきなのは「免責金額」や「等級ダウン」です。数万円の修理に保険を使った結果、翌年の保険料が大幅に上がってしまうことも。
「保険を使うと損になる」場合もあるので、保険会社にシミュレーションしてもらうことが大切です。
4.5. 将来的な再塗装・サビ発生の可能性
フェンダー修理で注意したいのが、修理後の経年劣化や再発リスクです。
特に板金塗装の場合、元の塗装との色ムラが出たり、修理箇所からサビが再発することがあります。
これは、下地処理や塗装の質が影響しているため、信頼できる業者を選ぶことが何より大切です。また、修理後に定期的にワックスがけをしたり、雨のあとの水分をふき取るなど、簡単なケアでも長持ちさせることが可能です。
5. DIYでフェンダー交換・修理はできる?
フェンダーの損傷を自分で直す「DIY修理」は、費用を抑える手段として検討されることがあります。確かに軽微なへこみやフェンダー交換なら、工具と少しの技術で対応できることもありますが、すべてのケースがDIYに向いているわけではありません。
5.1. 損傷の範囲と程度で判断
フェンダーの損傷が小さければ、DIYでの修理も可能です。たとえば以下のようなケースです。
損傷の例 | DIY向き? | 推奨対応 |
---|---|---|
5cm以内の浅いへこみ | ◎ | デントリペア、簡易板金 |
塗装はがれのみ(サビなし) | ◎ | タッチアップ、簡易塗装 |
大きな変形、鋭利な破損 | △ | 専門業者による板金・交換 |
フェンダーが内部まで変形 | ✖ | プロの整備が必要 |
特にリアフェンダーは車体一体成形が多いため、DIYでの交換は難易度が高く、基本的には非推奨です。
5.2. 修理の方がコスト高になる場合も
DIYと聞くと「安く済ませられる」と思いがちですが、実は修理の方が高くついてしまうケースもあります。
たとえば、補修塗料や工具を一式そろえたり、失敗してやり直すと、結局業者に最初から頼んだ方が安かったというケースは少なくありません。
また、塗装ムラや仕上がりの問題で後悔することも。
以下の比較で、自分に合う対応を見極めてみましょう。
項目 | DIY | プロ修理 |
費用 | ◎ 安く済むことも | △ 工賃が発生するが確実 |
仕上がり | △ 技術次第 | ◎ プロの品質 |
時間 | △ 慣れないと長引く | ◎ 短時間で完了 |
リスク | △ 失敗の可能性あり | ◎ 保証付き・安全 |
6. 特定の車種に合うフェンダーの種類とオプション
フェンダーは「とりあえず付けられれば良い」というものではなく、車種に合ったものを選ぶことが安全性・見た目・法令適合性のすべてに直結します。以下では、メーカー純正品とアフターパーツの違いから、スポーツカー・SUVなどカテゴリ別のフェンダー選びまでを紹介します。
6.1. メーカーメイドのフェンダーとアフターマーケットの違い
フェンダーは主に以下の2種類に分類されます。
種類 | 特徴 |
メーカー純正品 | 車両設計に完全一致、品質・塗装が高精度 |
アフターマーケット | デザイン・価格に幅、素材や形状のバリエ豊富 |
純正品は安心感があり、車検にも確実に対応できますが高価です。一方、社外品は個性を出したい方やコストを抑えたい方向け。ただし、取り付け精度や塗装仕上げに差があることもあるため注意が必要です。
6.2. スポーツカーにおすすめのフェンダーオプション
スポーツカー向けには、ワイドフェンダーやオーバーフェンダーなど、性能とデザインを両立したパーツが人気です。これにより大径ホイールの装着や空力性能の向上が期待できます。
- 素材:FRPやカーボン製など軽量重視
- デザイン:エアロと連携した立体感ある形状
- 注意点:保安基準(タイヤのはみ出し)に適合するか確認
6.3. SUVやトラック用のフェンダーの選び方
SUVやピックアップトラックでは、「タフな見た目」と「走破性向上」を兼ね備えたフェンダーが人気です。
- フェンダーフレア:砂利道や泥道の跳ね上げ防止に効果的
- 樹脂製パーツ:傷が目立ちにくく、オフロード使用に最適
- 純正オプション:車体カラーと統一感を出せるのが魅力
特にオフロード用途の場合は、バンパーやスカートとの干渉にも注意が必要です。
6.4. カスタムペイントとデザインに特化したフェンダー加工
近年人気が高まっているのが、ボディと一体化したデザイン性重視のカスタムフェンダーです。エアブラシやグラフィックペイントで、世界に一つだけの仕上がりにすることも可能です。
- フルラッピングとの組み合わせで表現の自由度が大幅UP
- 塗装+デザイン費用は高額になることもある(数万円〜10万円超)
6.5. 新旧モデル別適合フェンダーの特徴
車種によっては、同じ車名でも年式によってフェンダー形状が微妙に違うことがあります。特にフルモデルチェンジやマイナーチェンジが行われたモデルは要注意です。
車種例 | 違いの出やすい部分 |
トヨタ プリウス | フェンダー形状・ヘッドライト取付部 |
日産ノート | バンパーとのつながりライン |
ホンダフィット | アーチの広さ・固定位置 |
部品を取り寄せる際は、年式・型式・グレードの確認が必須。中古パーツや社外パーツを使う場合は、事前に適合確認をしっかり行いましょう。
7. フェンダーのリペイントとカスタムはあなたの車を個性的に
車のフェンダーは、単なる泥はね防止のパネルではなく、ボディラインやカラーリングと一体となって車の個性を表現する重要なパーツです。特にリペイントやカスタム加工を施すことで、愛車をよりスタイリッシュに、そして唯一無二の存在に仕上げることができます。このセクションでは、費用やデザインのアイデア、塗装の種類、プロ依頼のメリット、そしてDIYで取り組む際の注意点を紹介します。
7.1. リペイントにかかる費用と時間
フェンダーのリペイントは、比較的手軽に印象を変えられるカスタムのひとつです。
費用と所要時間は以下のように状況によって変動します。
内容 | 費用の目安 | 所要時間 |
---|---|---|
単色塗装(補修なし) | 約15,000〜25,000円 | 半日〜1日 |
傷補修+塗装 | 約25,000〜40,000円 | 1日〜2日程度 |
グラデーションや模様入り | 40,000円以上 | 2〜3日以上かかることも |
リペイントは、同色仕上げであれば短期間・低コストで可能ですが、複雑なデザインやカスタムカラーは職人の手作業が必要になるため費用が高くなります。
7.2. フェンダーデザインの創造的アプローチ
リペイントやカスタムの魅力は、「自由な発想を車体に反映できること」です。たとえば、フェンダーだけ異なる色にしてアクセントをつけたり、グラデーションで立体感を出したりすることで、車の印象は大きく変わります。中には、レース風のストライプやグラフィックをフェンダーにあしらうことで、スポーティさを演出するオーナーもいます。
また、最近ではペイントだけでなく、ラッピングフィルムを使って手軽に模様や色を変えるカスタムも増えています。こちらは剥がすこともできるため、気分や季節に合わせてカスタマイズを楽しむ方にも人気です。
7.3. 特殊なペイント技術と使用する塗料の種類
こだわりのフェンダーカスタムには、特殊塗料や技法の選定が重要です。以下のような種類があります。
塗料・技法の種類 | 特徴 |
パール・メタリック塗装 | 光の加減で色が変化、高級感がある |
キャンディ塗装 | 透明感ある深みのある色味、下地に技術が必要 |
マット塗装 | ツヤを抑えたスタイリッシュな印象、キズが目立ちやすい |
ハイドログラフィック(水転写) | カーボン調や迷彩など複雑な模様を再現可能 |
塗料の選択は仕上がりの印象だけでなく、耐久性やメンテナンス性にも関わってくるため、長く乗る車なら慎重に選びたいところです。
7.4. カスタムペイントのプロに依頼する効果
自分でリペイントを行うことも可能ではありますが、やはり仕上がりにこだわるならプロに任せるのが安心です。特に塗装のムラや垂れ、塗料の剥がれなどは、素人作業では避けにくいトラブルです。プロの塗装工房であれば、フェンダーの材質に適した下地処理から、温度・湿度の管理された環境での塗装、最後のクリアコートまで、すべてが専門の技術で施されます。
また、職人の手によるペイントでは、色の再現性や複雑なデザインの再現も格段に高くなります。特にパールやキャンディ塗装などの特殊仕上げは、プロならではの腕前が必要です。仕上がりの美しさはもちろん、耐候性や塗装の持ちにも大きく影響します。
7.5. DIYでのフェンダーカスタム時の注意点
DIYでフェンダーを塗装する場合は、自由にデザインできる楽しさがある反面、いくつかの重要な注意点があります。まず、最も大切なのは「下地処理」です。これが不十分だと、どんなに高価な塗料を使っても数ヶ月で剥がれてしまう可能性があります。
また、塗装中にホコリが舞い込んだり、湿度の高い日に作業してしまうと、塗装面がざらついたり乾燥不良を起こしたりすることがあります。塗料の飛散を防ぐためにも、屋外ではなく屋根付きのガレージや塗装ブースを用意するのが理想です。
さらに、塗装後の仕上げ(クリアコートや研磨)を怠ると、ツヤが出ず、見た目がくすんでしまうこともあります。そうした点も考慮すると、DIYは「気軽に楽しむカスタム」としては最適ですが、本格的な仕上がりを求める場合はプロの手を借りる方が確実です。
8. よくある質問(FAQ)
フェンダーに関する修理や交換、パーツの再利用については、多くの方が共通して抱える疑問があります。
8.1. フェンダーの傷でも車検に通らないことはある?
はい、傷の内容によっては車検に通らないこともあります。たとえば、フェンダーに鋭く尖った部分ができていたり、錆が進行して大きな穴が空いている場合、歩行者などへの安全性を損なうと判断されて不合格になる可能性があります。
また、フェンダーが脱落しかけていたり、タイヤを覆っていない状態も、保安基準違反とされることがあります。
ただし、軽微な擦り傷や小さなへこみであれば、車検で問題になることはほとんどありません。
とはいえ、見た目だけでなく機能面にも影響が出るようであれば、事前に修理や補修を検討することをおすすめします。
8.2. 中古フェンダーを使っても問題ない?
基本的には問題ありません。中古フェンダーは、コストを抑えて修理や交換を行いたい方にとって、非常に現実的な選択肢です。
ただし、いくつか注意すべき点があります。
まず、車種・年式・型式によって取り付けできるフェンダーが限られるため、必ず適合確認を行う必要があります。また、中古品のため、すでに細かいキズや色あせがある場合もあります。塗装状態をよく確認した上で購入することが大切です。
さらに、同じ色でも経年による色あせで完全に色が一致しないこともあるため、必要に応じて再塗装を前提とした利用を考えましょう。
8.3. 修理後の見た目はどこまで元通りになる?
これは損傷の程度や修理方法、そして依頼先の技術力によって異なります。軽度のへこみや擦り傷であれば、プロによる板金修理と再塗装でほぼ新品同様に仕上がるケースが多いです。
ただし、元の塗装と新しい塗装との「色合わせ」は非常に繊細な作業であり、光の当たり具合や経年劣化によって微妙な違いが残ることもあります。
また、塗装後のクリア層が薄かったり、下地処理が不十分だった場合には、数ヶ月で色ムラや劣化が目立ってくる可能性もあります。
そのため、仕上がりにこだわる場合は、信頼できる板金塗装専門店に依頼することがポイントです。
8.4. フェンダーモールだけ交換できる?
はい、フェンダーモール(フェンダーアーチに取り付けられる樹脂製の保護パーツ)だけを個別に交換することは可能です。
モールは外部の装飾兼保護パーツのため、車体本体に影響を与えずに取り外し・取り付けができます。
特にSUVやクロスオーバー車に多く使われており、飛び石やこすれによる損傷で交換を希望するケースも少なくありません。モール自体の価格も数千円〜と比較的安価なため、DIYでの交換にも向いているパーツの一つです。
ただし、車種によってはモールがビス止めかクリップ固定か異なるため、購入前に取り付け方式の確認をしておきましょう。
9. 見た目以上に重要なフェンダー、早めの対応がカギ
フェンダーは目立ちにくいパーツのようでいて、実は車全体の安全性や美観、さらには車検通過にも関わる重要な役割を担っています。
「ちょっとしたキズだから…」と放置してしまうと、見た目以上に深刻なトラブルに発展するリスクもあるのです。
9.1. 放置すると悪化するリスク
小さな擦り傷やへこみであっても、塗装が剥がれていれば、そこから水分が入り込みサビや腐食が進行します。特に鉄製フェンダーでは、放置すると数ヶ月で塗装が浮き、やがてパネルがボロボロに。
また、タイヤハウスに近い位置にあるため、フェンダーが変形してタイヤやブレーキに干渉することで、走行時の異音や安全性の低下を引き起こすこともあります。
このような症状が現れてからでは、修理では対応しきれず、部品交換や周辺の補修が必要になることも。結果的に費用がかさみやすくなってしまうのです。
9.2. 修理・交換か、買取か。今後の選択肢を考える
もし現在乗っている車が年式が古い・走行距離が多い・他にも不具合があるといった状態であれば、修理ではなく「手放す」という選択肢も現実的に考えるタイミングかもしれません。
フェンダー修理や交換に数万円をかけるよりも、廃車や車買取サービスを利用して、新しい車へとステップアップする方が、結果的にコストパフォーマンスが良いこともあります。
しかも最近では、フェンダーにキズやへこみがある車でも問題なく買い取ってもらえるサービスが増えており、
- 走らない車でもOK
- 引き取り無料
- 書類手続きも丸ごと代行
といったメリットがあります。
まだ修理するか迷っている方でも、「修理費」と「買取金額」の両方を比べて判断することができるため、まずは一度査定を受けてみるのが安心です。