パドルシフトは効果的な使い方をすれば、普段の運転をより快適にしてくれます。パドルシフトはどのような使い方をすれば、より大きな効果を発揮してくれるのでしょうか?本記事ではパドルシフトについて、効果的な使い方や活用におけるメリット・デメリット、使用する際の注意点、搭載されている車種などを解説します。
パドルシフトってどんなパーツ?
パドルシフトを用いることで、AT車であっても、まるでマニュアル車のように運転することができます。
スポーティーな走りを実現できるパドルシフトですが、AT車を運転する方の中には、どんなものかわからないという人もいらっしゃるでしょう。
本章では初めに、パドルシフトについての基本的な説明やその歴史、後付けかできるのか否かを解説していきます。
AT車もマニュアル車のように運転できる
そもそもパドルシフトとは、いったいどのような機能なのでしょうか。パドルシフトは通常、AT車のハンドルの裏側に付けられたレバーです。
通常3時と9時の位置に設置され、指で操作することによってシフトチェンジができるようになっています。
パドルシフトを使いこなすことができれば、AT車であっても、マニュアル車と同じように運転することができます。上り坂でパワーが欲しい・下り坂でシフトダウンを多用したい場合にも対応できる、便利な機能です。
パドルシフトの歴史は?
安全性の向上と、シフトチェンジをより素早くおこなうために開発された「パドルシフト」には、実に30年以上の歴史があります。
初めてパドルシフトが使われたのはフェラーリのF1のレーシングマシンです(1989年)。
1997年には「F1マチック」という名前でパドルシフトがフェラーリF355に追加され、その後、スポーツタイプの車を中心に広がり、現在に至ります。クラッチ操作が不要なため、よりスムーズにシフトチェンジができるようになりました。
パドルシフトの後付けはできる?
もともとパドルシフトではない車に、パドルシフトを設置することは可能なのでしょうか?
難しそうに思えますが、オートマチックのシフトレバーに「マニュアルモード」がある車種であれば、純正部品で設定されている車種もあります。もし、自分の車にパドルシフトを搭載したいと考える方はディーラーやメーカー等にお問い合わせいただくとよいでしょう。
パドルシフトの使い方は?
パドルシフトはただ取り付けただけでなく、しっかりと使いこなさなければ、意味がありません。また、使い方を誤ってしまうと、せっかくパドルシフトが搭載されていても、快適な運転はできないでしょう。ではパドルシフトは、どのような使い方をすればよいのでしょうか。
スポーティーな走りを実現させるため
まずパドルシフトは、スポーティーな走行を実現させることを目的に使われることが多いです。パドルシフトによって、容易にシフトチェンジができるため、急な加速や減速を可能にします。また登り坂などで失速する心配もありません。
つまり、AT車でも加速・減速にメリハリをつけるために、パドルシフトを使うということです。もちろんクラッチ操作の手間も省けます。
エンジンブレーキの効きを上げるため
パドルシフトがあることで、エンジンブレーキの効きを向上することも可能です。一般的なAT車の場合、マニュアル車と比較するとどうしてもエンジンブレーキの効きが弱いように感じられるでしょう。
パドルシフトを活用することによって、エンジンブレーキを早めにかけることができるため、その分効きもよくなります。
エンジンブレーキがよく効くことで、安全な運転ができるのはもちろんのこと、ブレーキパッドの消耗を抑えることもできます。
パドルシフトのメリット・デメリット
パドルシフトをより効果的に活用するためには、搭載されていることのメリットはもちろんのこと、デメリットも把握しておかなければなりません。
これはデメリットやその理由を知っておくことで、それらをカバーしつつ活用できるためです。
パドルシフトを使うメリット
パドルシフトが搭載されていることのメリットは、以下の2点です。
- 燃費向上
- ブレーキパッドの摩擦を抑えてくれる
車にパドルシフトが搭載されていることで、エンジンブレーキの効きを向上できます。その結果、燃費を向上させることもできるのです。またブレーキパッドやディスクといったパーツの消耗を遅らせることにも繋がります。
パドルシフトを使うデメリット
パドルシフトは便利なばかりでなく、搭載されていることのデメリットもあります。
- 燃費が悪くなることがある
- 設置位置によっては使いにくいと感じる方もいる
パドルシフトを多用しすぎると、効率的な回転数を維持するための速度調整ができず、燃費が悪くなる可能性があります。また設置された位置によっては、指が届かずパドルシフトが使いにくいと感じる方もいます。特に手の小さい女性などに多いので、注意してください。
パドルシフトを使う際の注意点
パドルシフトは使い方によっては、デメリットが目立つこともあります。そうなると、せっかく搭載されていても、パドルシフトが活躍できません。
本章にて、パドルシフトを使う際の注意点を「効果を期待しすぎる」「逆効果となるリスク」「直線での使用」といった3点に分けて紹介するので、それらの点を踏まえて使用してください。
過度な期待はしない
パドルシフトは便利ではあるものの、決して万能な訳ではありません。基本的にパドルシフトは、ドライバーの指示よりも電子制御が優先されます。そのため、場合によっては思い通りにシフトチェンジができない可能性があります。
「急なシフトチェンジができる」などと期待をしていると、電子制御が優先された場合に、不満を感じることもあります。くれぐれも過度な期待はしすぎないように活用しましょう。
逆効果になる可能性もある
先ほど、パドルシフトを使う際のデメリットとして「燃費が悪くなることがある」と解説しました。そしてこの点も注意すべきポイントの一つです。
CVTはトランスミッションによって、エンジンにとって最も効率的な回転数を維持しようとします。
これは、燃費向上の観点から見ても、非常に優れた機能の一つですが、パドルシフトを多用すると、このバランスが崩れる可能性があります。それによって、逆に燃費が悪くなる恐れがあるので、使い過ぎには注意しましょう。
直線での使用には注意
一般的なAT車の変速プログラムは、シフトを上げた際に生じる回転数の落ち込みを、あらかじめ考慮した仕様となっています。その上で回転数が落ちても、効率よく加速できるよう、変速するようにシステムが設計されています。
そのためパドルシフトで無理に加速すると、かえって遅くなってしまう可能性があるのです。直線での加速の際は、このリスクが高まるので注意しましょう。
パドルシフトを搭載している車種
ここまでの内容から、パドルシフトがどのような機能であり、どんな効果を発揮するものであるのかはお分かりいただけたかと思います。
ここで疑問に思うのが「ではどのような車種にパドルシフトが搭載されているのか」という点でしょう。
本章では、あらかじめパドルシフトが搭載されている代表的な車種を「軽自動車」「一般的な自動車(普通自動車)」「スーパーカー」の3つに分けて解説します。
軽自動車
パドルシフトが搭載されている「軽自動車」として以下のような車種があります
- アルトワークス(スズキ)
- ワゴンRスティングレー(スズキ)
- ハスラー(スズキ)
- N-BOX(ホンダ)
- N-WGN(ホンダ)
- N-ONE(ホンダ)
- S660(ホンダ)
- コペン(ダイハツ)
- キャスト(ダイハツ)
- ソニカ(ダイハツ)
などです。
普通自動車(コンパクト〜ミドルクラス)
パドルシフトが搭載されている「一般的な自動車(普通自動車)」として以下のような車種があります
- スズキ:スイフト、エスクード、SX4
- ホンダ:ヴェゼル、CR-Z、CR-V、シビック、オデッセイ、フィット、グレイス、ステップワゴン、アコード、ジェイド
- ダイハツ:ロッキー
- トヨタ:ウィッシュ、マークX、ヴァンガード、ラクティス、ヴォクシー、クラウン、86、ヴィッツ、エスティマ
- マツダ:デミオ、アテンザ、RX-8、アクセラ、CXシリーズ(CX-8、CX-5、CX-30)、MX-30、MAZDA6、MAZDA3、MAZDA2、ロードスター
- ニッサン:GT-R、スカイライン、フェアレディZ、ウイングロード、セレナ、ジューク、フーガ、ムラーノ
- スバル:レガシィ、レヴォーグ、インプレッサ
- レクサス:LS、GS、IS、LC、LX、RC、RX(※RXは「F SPORT」グレードに標準装備)
などです。レクサスRXは「F SPORTグレード」に、パドルシフトが標準装備されます。マツダではパドルシフトを「シフトスイッチ」と呼んでいます。
ホンダのCR-Vに搭載されたパドルシフトは、ガソリン車専用。駆動方式に関係なく、用意されている点がポイントです。
スーパーカー
スーパーカーと呼ばれる高性能車の多くは、パドルシフトを標準装備しています。
そのため、購入時からスポーティな走りを楽しめる仕様になっているのが特徴です。
- ポルシェ
- フェラーリ
- ランボルギーニ
- マクラーレン
- アストンマーティン
これらのスーパーカーでは、AT(オートマチック)とMT(マニュアル)のように、
変速を自分で操作するか自動に任せるかを自由に切り替えられるモデルが多く、
ドライバーの好みに合わせた走行が可能です。
パドルシフトは使い方に注意しよう!
パドルシフトの使い方について解説しました。パドルシフトは効果的に活用することで、AT車であっても瞬時にシフトチェンジができ、まるでマニュアル車のようにスムージな加速・減速がおこなえます。しかし多用しすぎることで、燃費が悪くなる可能性もあるので、いくら便利であっても、パドルシフトを使い過ぎないよう注意してください。