事故車と聞くと「事故を起こしたことのある車」と認識されがちですが、必ずしも正解とは言えません。また、事故車の査定はどのようにおこなわれているのでしょうか。
本記事では、事故車の定義や査定価格・チェックポイント・高額買取のコツ・注意点などをまとめて解説していきます。
「事故車」の定義とは？
事故車とは、名前から事故を起こした経験のある車と思われがちです。中古車買取業車がいう「事故車」とは、事故を起こしているかいないかよりも重視されるポイントがあります。なかには事故を起こした経験のある車であっても「事故車」と呼ばれない車もあるのです。
本章では、そもそも事故車の定義とは何なのか、事故車にならない車とはどのようなものなのかを解説します。
修復歴のある車＝事故車
事故車というと「（過去に）事故を起こした車」と認識されがちです。しかしこれは正確な定義とは異なります。中古車買取業界で呼ばれる「事故車」とは、事故歴よりもむしろ「修理歴」のある車が事故車とされています。少しややこしいこともあり、業界内では「修復歴車」と呼ばれることも多いようです。
また日本自動車査定協会・自動車公正取引協議会が定めている事故車（修理歴車）の定義とは、「フレーム部位を交換または修復した車」とされています。またフレーム以外にも、8つの箇所を修理していることで「修理歴車」と認定されます。以下が該当箇所なので、自分の車にこのような修理歴がないか、チェックしてください。
- フロントクロスメンバー
- フロントインサイドパネル
- ピラー
- ダッシュパネル
- ルーフパネル
- ルームフロアパネル
- トランクフロアパネル
- ラジエターコアサポート
修理歴があっても事故車にならないことも！
車のパーツによっては、修理をしていても「事故車（修理歴車）」として扱われないケースもあります。以下の9箇所は、過去に修復をしても修復歴車とはなりません。
- フロントバンパー
- ロアスカート
- フロントフェンダー
- ボンネット
- リアフェンダー
- トランクリッド
- リアバンパー
- サイドシルパネル
- ドア
上記の箇所は、たとえ事故によって破損して修理をしたとしても、事故車にはなりません。またパーツだけでなく、以下のような状況で生じた事故や修理歴の場合は、事故車とは見なされない可能性があります。
- 横からぶつけられた（ドアのみ交換）
- 後ろから衝突された（リアバンパーのみ交換）
- 正面衝突した（ライトやバンパーのみ交換）
- 飛び石の被害に遭った（フロントガラスを交換）
- 屋根から雪の塊が落ち、表面が傷ついた
一方的にぶつけられた場合や、飛び石・雪の被害など防ぎようのない傷の場合は、修理をしても「事故車」とは見なされません。
事故車の買取相場
事故車（修理歴車）であっても、専門の業者へ依頼をすることで買い取ってもらえます。ただし事故車であることは、当然買取価格にも影響を及ぼします。
本章では、事故車の買取価格について、相場の目安や低価格になってしまう理由、傷などがあっても修理をしない方が良い場合などを解説します。事故車を売却したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
通常の価格の50％前後
前提としてここでいう事故車とは、業界内で呼ばれる「修復歴車」のことです。事故車を売却しようと考えた場合、把握しておきたいのが相場価格です。
一般的に事故車の買取相場は、通常の車（修理歴がない）の50％程度とされています。裏を返せば、車そのものの価値が高ければ高いほど、減額される金額も大きくなってしまうということです。
前述したように事故車とはならない条件に該当する場合は、軽い損傷のみであれば買取価格に大きく影響することはありません。しかし事故車に該当してしまう「修復歴」は、見た目が完全に修復されている車であっても大幅に減額されてしまいます。
事故車の相場が低くなる理由
事故車の相場が低くなってしまう理由としては、見た目は修復されていたとしても実は動作に大きく影響が出る可能性があるためです。
乗用車のほとんどはモノコック構造によって作られています。前後から与えられる衝撃については、ある程度吸収される仕組みです。しかし一定の角度から大きな衝撃を受けた場合は、その影響が車全体に及んでしまう可能性があります。
見た目以上に悪影響が及んでいる可能性も否めないので、安全性に欠ける、故障のリスクが高まるなどの欠点が生じます。そのため買取時の相場価格が大きく減額されてしまう可能性があります。
修理をしない方が良い場合もある
しかし事故を起こしてすぐに車を売却してしまう場合は、無理に修理をしなくても良いケースがあります。もちろん、しっかりと修復されている車の方が修理をしていない車よりも査定額は高くなります。
しかし修復する・しないによる査定額の差よりも、修繕費の方が高くなってしまうケースが多く見られます。結果的には、車の所有者が損をしてしまう可能性があるというわけです。
たとえばカー用品店などで、手軽に購入できる修繕アイテムで賄える範囲の傷や汚れであれば、綺麗にしておくことはかまわないでしょう。しかし修理業者へ依頼して、高額な費用を支払わなければならない場合は、査定額の差よりも費用がかさむため、修理をしないまま買取を依頼するのがおすすめです。
事故車を高額買取してもらうコツは？
事故車であってもいくつかのポイントを押さえておけば、十分に高額買取を期待することはできます。もちろん通常の車以上の査定額を期待してしまうと「安いな」と感じてしまうかもしれませんが、事故車だからいくらでも良いと諦めてしまう必要もありません。
本章では事故車でも、高額買取を期待できるコツを3つ解説します。
事故車の専門業者へ依頼する
事故車を高額で買い取ってもらいたいときには「事故車専門の買取業者」や「廃車専門業者」に依頼するのがおすすめです。
事故車専門買取業者とは、名前のとおり事故を起こした車（修理歴のある車）を、専門に買い取っている業者のことです。このような業者には、買い取った車を海外へ販売する専用のルートがあります。そのため比較的高額で買い取ってくれる可能性が高いでしょう。
また事故車をそのまま買い取ってもらうのではなく、廃車専門業車へ依頼するのもおすすめです。このような業者は事故車を買い取ったあと、パーツの取り除き再利用するため、高額買取が期待できます。
相見積もりをする
インターネットで探してみると、事故車の買取をしてくれる業者が実に多くあることがわかります。では、それらの業者のなかから、実際に依頼をする業者をどう選べば良いのでしょうか。
少しでも高額で買い取ってもらうためには、まず複数の会社で「相見積もり」をしてください。ほとんどの業者は、見積もりが無料であるため、納得がいくまで何社でも査定を受けるのがおすすめです。
相見積もりでおおよその金額を知り、納得できる業者を選んでください。
業者の買取事例をチェックする
業者に相見積もりを依頼することに加えて、見積もりの金額が適正かどうかもチェックしなければなりません。査定額が適正なのかを判断するには、その業者の買取実績を見てみましょう。
多くの買取業者では、自社のホームページ上で過去の買取事例を紹介しています。なかには車種名や走行距離、年式などがかなり詳細に書かれたサイトもあります。
もちろん損傷の度合いで、買取価格は変動するため、あくまでも「目安」にはなってしまいますが、適正価格を把握するうえでは、ぜひやっておきたいところです。
事故車を買取してもらう注意点
事故車を買い取ってもらう際には、いくつかの注意点があります。事故車のように「訳アリ」な車は、買い取ってもらうときに修理歴を誤魔化したり、事故車について正しく認識できていなかったりすると、あとから買取額の返還を求められる事態や売主が損をしてしまう可能性があります。本章で紹介する3つのポイントに注意しましょう。
そもそも事故車かをチェックする
修理歴がある＝事故車と認識していると、実際には事故車と認識されない修理歴であったにもかかわらず、査定額が低くても納得してしまうといった可能性があります。
また自分の車が事故車に分類されるのか判断が難しい場合は、インターネットで確認しましょう。本記事を参考にされても良いですし、専門の業者に直接見てもらって判断してもらうのもおすすめです。
あまり費用をかけたくないときは、ディーラーや業者に聞いてみるのがベストでしょう。
修理歴は隠さない
前提として、車の買取を依頼するときには絶対に「修理歴を誤魔化す」のはやめましょう。売却主は、事故の状況を可能な限り正確に「告知する義務」があります。これを怠って、修理したことを隠して買い取ってもらったとしても、プロが見れば修理跡というのはすぐにわかってしまいます。
あとから買取価格の返還を請求されるケースや、最悪の場合は訴えられてしまうかもしれないので、全て正直に報告しましょう。
還付金が正しいか確認しておく
車を手放した際、すでに支払っていた税金は「還付金」として変換されます。後日、しっかりと還付金が返還されるかどうか、事前にチェックしておかなければなりません。
事前確認が必要な税金は以下の3つです。
- 自動車税
- 自動車重量税
- 自賠責保険
すでに1年分まとめて支払っているものなどは、月割りで計算されたのち、車を手放した翌月以降の分が変換されます。ただしこれは普通自動車の場合のみです。軽自動車は「自動車税」と「自賠責保険」の還付制度はありません。
事故車に関するQ&A
事故車を売却する場合、やはり通常の車の買取よりも数が少なく、周囲の人の話を参考にできるケースも少ないでしょう。
本章では「事故車に関するQ&A」と題して、他社で0円であった車でも買い取ってもらえる可能性や、そもそも保有していた車の修理歴を知らずに買取依頼した場合、売却したあとに減額される可能性について解説します。
他社で0円だった車を買い取ってもらえる可能性は？
事故車を売却する際、複数の業者に見積もり依頼をするでしょう。しかし最初に依頼をした業者で買取価格が0円と言われてしまった場合は「どこへ持って行っても値段がつかないのでは？」と思ってしまうかもしれません。
しかし1社で0円だったり、逆に廃車代金を請求されてしまったりする場合でも、複数の業者に当たってみることで、買取価格がつくケースも十分あります。
修理歴を知らなかった場合は？
あまり多いケースではありませんが、修理歴を知らないまま車を保有しており、そのまま買取業者へ依頼をしてしまった場合はどうなるのでしょうか。
知人などから譲り受けた車で、実は修理歴があったという場合、プロの査定士が車を見れば大抵の場合、修理跡を見つけることができます。しかし知らなかった場合は、当然事故車であることを未申告であっても、売主に責任はありません。査定額は減額されますが、訴えられることはありません。
売却後に減額される可能性は？
基本的には、過去の修理歴などは正確に申告しなければなりません。しかし意図せず申告に漏れがある場合は、この限りではありません。ただし、売却後に別の修理跡などが見つかった場合は、あとから減額されてしまう可能性があります。
ただこのようなケースをできる限り減らすために、定期点検・整備の記録やメンテナンスノートがある場合は、しっかりと申告しましょう。
事故車の査定について把握しよう！
事故車の査定について、そもそもの事故車の定義や買取相場、高額買取のコツ、注意点などを解説しました。また最後には、事故車に関するQ&Aと題して、より細かな疑問にもお答えしました。
これから事故車を売却したいと考えている方は、ぜひ本記事を参考にして、少しでも高額で売却できるようポイントを押さえておきましょう。
また事故車をより高額で買い取ってもらう手段として、廃車専門業者へ依頼するのもおすすめであると解説しました。どこの業者へ依頼するか迷っている方は「廃車ひきとり１１０番」を利用してみてください。
