環境にやさしいことで、近年注目されている電気自動車。車両を導入する際、気になるのは維持費ですよね。ガソリン車やハイブリット(HV)車と、電気自動車の維持費を比べると、果たしてどのくらいお得になるのでしょうか。本記事では、維持費の比較はもちろんのこと、活用できる補助金や減税制度なども合わせて解説していきます。
1. 電気自動車ってどんな車?

近年、度々耳にする電気自動車。EVといった呼ばれ方もされていますが、これは「Electric Vehicle」の略称です。漠然と電気自動車=EVと認識している方も多いですが、実は少し違います。では電気自動車とは一体どのような車両なのでしょうか?維持費について解説する前に、そもそも電気自動車とは何なのかについて解説していきます。
1.1 電気を動力にして走る車両が「電気自動車」
先ほど、EVとはElectric Vehicleの略であると説明しました。Electric Vehicleを訳すと「電気を動力にすることで動く車両」となります。つまりEVには、電気自動車のことだけでなく、電気を動力にしている車両であれば、全て含まれるということです。とはいえ、EV=電気自動車という認識が広まっているため、電気自動車という意味で「EV」と略しても、意味は通じるでしょう。
EVには「BEV」「HV」「FCV」の3種類があります。3つの大きな違いとしては「動力」と「燃料」です。それぞれについて、以下の表を参考に、比較してみてください。
| 燃料 | 動力 | |
|---|---|---|
| BEV | 電気 | 電気 |
| HV | 電気または化石燃料 | 電気または化石燃料 |
| FCV | 水素 | 電気 |
電気自動車は、上記3種類のうち、燃料と動力、どちらも電気のみを使った「BEV」に該当します。
1.2 代表的な車種は?
現在、多くの自動車メーカーが、電気自動車の開発を進めています。個人でも電気自動車に買い換える方も多くおり、今後も一層増えていくことでしょう。
では具体的に、電気自動車を購入するならば、どのような車種を検討すれば良いのでしょうか?電気自動車の代表車種は、以下のとおりです。
| 車名 | メーカー |
|---|---|
| リーフ | ニッサン |
| アリア | ニッサン |
| MX-30 EV MODEL | マツダ |
| Honda e | ホンダ |
| bZ4X | トヨタ |
| UX300e | レクサス |
国内では、日産が電気自動車の先駆者とされていることもあり、現在も多くの車種が販売されています。また輸入車であっても、電気自動車を選択することはできます。輸入車の代表車種は以下のとおりです。
| 車名 | メーカー |
|---|---|
| iX | BMW |
| Q4 e-tron | AUDI |
| I-PACE | JAGUA |
| EQA | Mercedes-Benz |
| Taycan | porsche |
2. 電気自動車の維持費は?

多くのメーカーから販売されている「電気自動車(EV)」ですが、導入するときに気になるのは、やはり維持費ですよね。いくら環境によいからといっても、維持費がかさむ車両を個人や企業で導入するのは躊躇ってしまいます。ガソリン車と比較して、維持費が変わらない、または高くなるのであれば、わざわざ電気自動車を導入しようとは思わないかもしれません。
そこで本章では、電気自動車の維持費について、メンテナンス費用や燃料費、税金、保険の観点から、解説を進めていきます。
2.1 定期メンテナンス費用
まずは車両のメンテナンス費用。ガソリン車であれば、エンジンだけでもオイルやフィルターなど消耗品も多く、定期的に交換費用がかかります。しかし電気自動車のモーターの場合、エンジンオイルやオイルフィルターがなく定期的な消耗品はありません。もちろん潤滑油は使用されていますが、ガソリンエンジン車などと比べると負担が低く、交換頻度は多くありません。
2.2 車検代
定期的におこなう「車検」においても、電気自動車のほうがコスパが高いといえます。代表車種のひとつである「リーフ(日産)」の例で見ると、車検の基本料金は40,000円ほどが相場なのだそうです。これに法定費用26,000円を合わせると、66,000円となります。
リーフは3ナンバーの車となります。同じく3ナンバーでガソリン車の場合、車検費用の相場は65,000〜135,000円ほどとなります。両者を比べると、電気自動車のほうが車検費用はローコストであると言えそうです。
2.3 燃料費
言うまでもありませんが、電気自動車の燃料は電気です。そして電気は、ガソリンよりもはるかに安価な燃料とされています。ごく一般的な電気契約の場合、100kmごとの電気代は約490円。年間10,000km以上を走行したとしても、49,000円です。
車種によってはもちろん、充電をするタイミングが昼か夜かによっても、金額には差が生じます。以下では、日産リーフの例で電気代をシミュレーションしていきます。
国内では、日産が電気自動車の先駆者とされていることもあり、現在も多くの車種が販売されています。また輸入車であっても、電気自動車を選択することはできます。輸入車の代表車種は以下のとおりです。
| 充電回数 | 電気代(昼に充電) | 電気代(夜に充電) | |
|---|---|---|---|
| 3,000km走行 | 10回 | 18,600円 | 12,400円 |
| 5,000km走行 | 16.6回 | 30,876円 | 20,584円 |
| 8,000km走行 | 26.6回 | 49,476円 | 32,984円 |
※車両は全て、日産リーフの現行モデル『62kWh』としています。
2.4 税金
自動車にかかる税金も、維持費として無視できませんよね。では電気自動車の場合、どれほどの税金が課されるのでしょうか。
周知のことではありますが、自動車税は「総排気量」によって変動します。まず自家用乗用車において総排気量が1,000cc以下であれば、29,500円ほどの自動車税で済みます。しかし総排気量が1,500cc〜2000ccで39,500円。2,000cc〜2,500ccともなると、自動車税だけでも45,000円もの費用が発生します。
では電気自動車の場合はどうでしょうか。電気自動車から出る排気量は「0」です。これはガソリンを使わないので、排気ガスが出ないためです。つまり自動車税は、最も安価な年間29,500円ということになります。
2.5 保険
自動車を保有するためには、税金だけでなく任意保険料の支払いも必要となります。電気自動車の保険料とは、いくらほどになるのでしょうか。
基本的に、自動車の任意保険は保証内容、等級によって金額が変動しますので一概には申し上げられません。ただ、車両保険をつけた場合は、車両本体が高い分、保険料も高くなります。
30代で20等級、年間走行距離5000km以下、車両保険500万円を附帯したとして39,000円~68,000円程度(※保険金額は保険会社・保障内容により異なります)になるようです。
保険会社によりエコカー割引などがあれば、そちらも受けられます。
3. 電気自動車には補助金・減税制度がある

電気自動車(EV)を導入するにあたって得られる最大のメリットの一つが、国や自治体による手厚い補助金と減税制度を活用できることです。
EVは車両本体価格がガソリン車に比べ高めに設定されていますが、「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金(CEV補助金)」をはじめとする公的支援を組み合わせることで、購入時の負担を大幅に軽減できます。
また、維持費に直結する減税制度も非常に充実しています。それぞれの支援内容について、最新の状況(2024年度〜2025年度版)を紹介しますので、EVへの乗り換えを検討している方はぜひ参考にしてください。
3.1 自治体による独自支援と税制優遇
国からの補助金(最大85万円)に加え、多くの地方自治体が独自の普及促進策を導入しています。特に東京都などの一部地域では、国と自治体の補助金を併用することで、実質的に100万円以上の優遇を受けられるケースもあります。
💡 自治体による支援・減税の一例
- 東京都足立区:独自の助成金制度(省エネ設備等導入費用助成)において、電気自動車の購入に対して一律10万円の補助金を受け取ることができます(※年度ごとの予算枠があるため、最新の受付状況の確認が必要です)。
- 東京都・愛知県など:電気自動車の普及を強力に推進するため、EVを新車登録した場合、購入から5年間にわたって自動車税(種別割)が全額免除される非常に手厚い優遇措置が取られています。
こうした補助金や減税制度を活用すれば、最新のEVを賢く手に入れることが可能です。
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3.2 CEV(クリーンエネルギー自動車)補助金
クリーンエネルギー自動車補助金は、最大金額が最も高額な補助金です。電気自動車の車種ごとに金額が定められており、最大85万円の補助金を受け取ることができます。
補助金を受け取るためには、まず「センター補助金交付申請書」を提出します。その後審査を受けることで補助金が交付されます。このとき対象車両に対して、3〜4年間の保有事務が課せられます。
3.3 EVライフを支える3つの強力な減税制度
電気自動車(EV)を導入することで適用される優遇税制は、主に以下の3つです。
これらの制度により、購入時の諸費用だけでなく、維持費である毎年の自動車税も大幅に抑えることができます。
- 自動車税(種別割):グリーン化特例
- 自動車重量税:エコカー減税
- 環境性能割:非課税(0%)
1. 自動車税(種別割)
排出ガス性能が優れた車を対象とした「グリーン化特例」により、新車登録の翌年度にかかる自動車税が概ね75%軽減されます(2026年3月31日までの新車登録が対象)。
例えば、本来25,000円の税金が約6,500円まで抑えられるため、毎年の固定費を大幅に節約可能です。
※東京都や愛知県のように、自治体独自の施策で5年間にわたり全額免除(0円)となる地域もあります。
2. 自動車重量税
「エコカー減税」の対象となるEVは、購入時の重量税が「免税(0円)」となります。
さらに、新車登録から3年後の初回継続車検(1回目の車検)の際にかかる重量税も100%免除されるため、乗り始めてからの維持費の安さはガソリン車を圧倒しています。
3. 環境性能割
かつての「自動車取得税」に代わって導入された「環境性能割」ですが、電気自動車の場合は最高ランクの評価となり「非課税(0%)」が適用されます。
購入時の価格に対してかかる税金がゼロになるため、初期費用の負担を大きく軽減できるポイントです。
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4. ガソリン車・HVとの比較

ここまでの内容から電気自動車の維持費についてはお分かりいただけたでしょう。しかし、電気自動車だけの維持費がわかっていても、果たしてそれがガソリン車やハイブリット車(HV)などと比べて、得なのか否かは判断できません。
そこで本章では、ガソリン車と電気自動車、ハイブリット車と電気自動車、コスト面におけるそれぞれの違いについて解説していきます。
4.1 ガソリン車と電気自動車の比較
まずは最も多くの人が保有している「ガソリン車」と電気自動車のコストを、比較していきます。しかし、ひと言でコストといってもその内訳は複数あります。
本章で解説するのは、走行コストと年間維持費です。ガソリン車と電気自動車、それぞれの違いを比較したうえで、最終的にどちらのコスパが高いのか、判断してみてください。
4.2 走行コストの違い
まずは電気自動車とガソリン車、走行にどのくらいコストがかかるのか両者を比べてみましょう。ここでは最もシンプルに、10,000km走るのに必要な燃料からコストを比べていきます。
電気自動車の場合、10,000km走るためには1,538kWhの電気が必要となります。1kWhが25円であるため、10,000km走るための電気代は「38,450円」であるとわかります。
一方でガソリン車の走行コストはどうでしょうか。ガソリン車が10,000km走るには、約666L(リッター15kmとして)のガソリンが必要となります。ガソリン1Lに対してかかる費用は、約170円です。このことから、ガソリン車で10,000km走るために必要な走行コストは「113,220円」となります。
両者を比較すると、電気自動車の走行コストは「ガソリン車の半分以下」であると結論づけることができます。
4.3 年間維持費の比較:EVはガソリン車より年間10万円以上お得?
電気自動車(EV)とガソリン車では、日々の走行コストから車検時の法定費用まで、維持費に大きな差が生じます。
ここでは、新車購入から3年間の維持費をシミュレーションし、その差を具体的に比較していきます。
電気自動車(EV)の3年間維持費シミュレーション
| 項目 | 1年目 | 2年目 | 3年目(車検時) |
|---|---|---|---|
| 自動車税(種別割) | 約6,500円 ※75%軽減適用 |
25,000円 | 25,000円 |
| 自動車重量税 | 0円 ※免税 |
0円 | 0円 ※2回目免税適用 |
| 自賠責保険料 | 0円 | 0円 | 17,650円 ※24ヶ月 |
| 印紙代・車検基本料 | 0円 | 0円 | 約45,000円 |
| 任意保険料 | 70,000円 | 60,000円 | 55,000円 |
| 法定点検・整備費用 | 15,000円 | 15,000円 | 0円 |
| 走行コスト(1万km) | 約48,000円 ※電力量料金目安 |
約48,000円 | 約48,000円 |
| 年間合計 | 139,500円 | 148,000円 | 190,650円 |
ガソリン車(1800ccクラス)の3年間維持費シミュレーション
| 項目 | 1年目 | 2年目 | 3年目(車検時) |
|---|---|---|---|
| 自動車税(種別割) | 36,000円 | 36,000円 | 36,000円 |
| 自動車重量税 | 0円 | 0円 | 24,600円 |
| 自賠責保険料 | 0円 | 0円 | 17,650円 |
| 印紙代・車検基本料 | 0円 | 0円 | 約55,000円 ※整備含む |
| 任意保険料 | 60,000円 | 52,000円 | 48,000円 |
| 法定点検・オイル交換 | 25,000円 | 25,000円 | 10,000円 |
| 走行コスト(1万km) | 約113,000円 ※170円/L・15km/L |
約113,000円 | 約113,000円 |
| 年間合計 | 234,000円 | 226,000円 | 304,250円 |
4.4 トータルコストは圧倒的に電気自動車(EV)が安い
上記のシミュレーションを比較すると、年間の維持費においてEVはガソリン車よりも毎年約8万円〜11万円ほど安く済むことがわかります。
3年間のトータルコストでは約30万円近い差が開く計算になります。
特に、ガソリン価格の高騰が続く昨今において、自宅で充電可能なEVの「走行コストの低さ」と、車検時の「重量税免税」のインパクトは非常に大きいと言えます。
4.5 ハイブリッド車(HEV)との比較
「燃費の良いハイブリッド車ならEVに匹敵するのでは?」と考える方も多いでしょう。
燃費をリッター25kmとし、ガソリン価格170円で10,000km走行した場合のガソリン代は年間68,000円です。
これに対し、EVの電気代は約48,000円(※契約プラン等により変動)であり、依然としてEVの方が2万円ほど安く抑えられます。
また、ハイブリッド車はエンジンオイルの交換が必要ですが、EVはその必要がないため、点検費用の面でもEVに軍配が上がります。
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5. 電気自動車が抱える課題とは?

走行コストや維持費、さまざまな支援制度(補助金)などの観点から見ると、すぐにでも電気自動車に変えた方が、お得に感じるかもしれません。しかし実際は、公道で見かけるほとんどの車がガソリン車です。それは、電気自動車が誕生してから、まだ歴史が浅いという単純な理由の他にも、以下のような課題があるためです。
- 自宅に充電設備が必要
- 一回の充電で走行できる距離に限りがある
- メインバッテリーの交換に70万円程度(再生バッテリーで40万円程度かかる)
最後の点について補足をすると、バッテリー自体の寿命は10年ほどです。また、別途工賃も発生します。
6. 電気自動車(EV)導入にかかる初期費用の目安
電気自動車(EV)は、車両本体を購入すればすぐに乗り出せるわけではありません。
ガソリン車とは異なり、自宅で日常的に充電するための「充電設備」の設置費用も考慮する必要があります。
ここでは、車両本体価格と、自宅への充電設備設置にかかる初期費用の最新相場を解説します。
6.1 車両本体にかかる費用
EVの車両価格は、バッテリー容量や性能によって幅がありますが、ガソリン車に比べると高めに設定されています。
現在、日本で購入できる主要なEVの価格帯は以下の通りです。
- 軽EV(日産サクラ・三菱ekクロスEVなど):約250万円〜360万円
- 国産スタンダード(日産リーフ・トヨタbZ4Xなど):約400万円〜650万円
- 国産プレミアム(日産アリアなど):約660万円〜950万円
- 輸入車・高級ブランド(テスラ・ポルシェなど):約550万円〜2,000万円以上
補助金を活用することで実質的な購入価格は下がりますが、初期費用としては300万円〜700万円程度の予算を見ておくのが一般的です。
6.2 自宅への充電設備設置にかかる費用
EVを所有する場合、ガソリンスタンドへ行く手間をなくすための「自宅充電」の環境作りが欠かせません。設置する設備の種類によって、費用は大きく異なります。
🛠️ 充電設備の設置費用(工事費込み)
- 普通充電コンセント(200V):約5万円〜10万円
※最も安価で一般的なタイプです。 - 壁掛け型普通充電器:約15万円〜30万円
※充電ケーブルが一体型になっており、利便性が高いタイプです。 - V2H(Vehicle to Home):約80万円〜150万円以上
※車から家へ電気を戻せる高度なシステム。機器代に加え、大規模な工事費がかかりますが、国や自治体から高額な補助金が出る場合があります。
詳しくはこちらの記事でも解説してます➤ 自宅でEV充電するにはいくらかかる?
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7. 維持費を比べ、電気自動車の導入を検討しよう

電気自動車の維持費について、解説しました。燃料やメンテナンス、車検、部品交換などを合わせた、トータルの維持費を比べてみると、電気自動車のほうが、ガソリン車よりも6〜8万円ほど安いことが分かります。また国や自治体が運営する制度も、経済的負担を軽減してくれます。電気自動車を検討している方は、維持費も比較材料として考えてみてください。
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