イグニッションコイルとは、エンジンの燃焼に関わる部品のこと。消耗品のため、寿命が来る前に交換する必要があります。しかしながら、いつ頃交換するべきで、どれくらいの費用がかかるかご存じでしょうか?劣化とともに快適に運転できなくなる部品のため知っておくに越したことはありません。
イグニッションコイルとは?
そもそもイグニッションコイルとはどういうものなのでしょうか。基本的な知識について解説します。

エンジン内で燃料を燃焼させるために不可欠なもの
イグニッションコイルとは、バッテリーから供給されている電圧を増幅させるためのものです。
車のエンジンは、空気とガソリンを圧縮してつくる混合気と呼ばれる気体を燃やして動きますが、混合気に火を付けるためにスパークプラグという部品で火花を発生させます。
その際、スパークプラグで火花を起こすには非常に高い電圧をかける必要があり、車のバッテリーそのままでは電圧が足りず、電圧を増幅させるイグニッションコイルが必要となるのです。 (車のバッテリーの電圧は12Vですが、エンジン内部でスパークプラグを放電させるには20,000~35,000Vもの高電圧が必要になります。)
イグニッションコイルの仕組み
イグニッションコイルにもいろいろ種類はありますが、基本的な仕組みは同じです。
1次コイル、2次コイル、コアで構成されたものであり、1次コイルがバッテリーにつながっています。まず、車に搭載されたエンジンコントロールユニット(ECU)がエンジン点火タイミングと判断すると1次コイルに流れている電流が止まり、次いで電磁誘導により2次コイルに高電圧が発生するという仕組みです。
この機械式には、電気接点の摩耗や接触不良、接点間スパークの発生、プラグコードでの電圧のロスがあり、その改善のために登場したのがダイレクトイグニッション(DL)Iと呼ばれる方式です。
以前は点火のタイミングをエンジンのカムシャフトの動きをもとに取られており、ディストリビューターという部品を介してスパークプラグに電流が送られていましたが、近年はECUを用いて電流を送るダイレクトイグニッションが使用されています。
イグニッションコイルが劣化・故障すると起きる症状

エンジンを動かすための重要な部品であるイグニッションコイルは、故障するとさまざまな現象を引き起こします。
これらの症状が出たらイグニッションコイルの交換どきかもしれません。
1. エンジンがかかりにくくなる
イグニッションコイルは混合気に火を付けるための重要なパーツのため、当然故障するとエンジンがかかりにくくなります。
もちろん症状が悪化するとエンジンがかからなくなります。
2. アイドリングが不安定になる
イグニッションコイルの故障は、アイドリング時のエンジン回転数を不安定にします。
この結果、エンジンが止まりそうになるほどアイドリング回転数が低くなったり、あるいは回転数が上がったり下がったりといった現象が起きることも。回転数が上がったり下がったりするのは、アイドリング回転数が下がると車に搭載されたコンピュータが回転数を上げ、十分上がったらコンピュータは停止して再びアイドリングが下がり、すると再びコンピュータが回転数を上げ、といったことの繰り返しが起こるためです。
3. 車体の振動が増える
自動車のエンジンは、乗車している人が快適に乗れるよう、振動しないように設計されています。これにはバランスシャフトと呼ばれる部品が貢献しており、エンジンのピストンの上下運動と反対方向にバランスシャフトが動くことでエンジンの振動を打ち消しているのです。
しかしながら、イグニッションコイルが故障すると、エンジンのバランスが狂い、バランスシャフトが対応できずに振動が発生します。
4. 加速が鈍くなる
イグニッションコイルが故障すると、混合気をうまく燃やせなくなり、エンジンがうまく動きません。この結果、加速力が弱くなったように感じます。
また、アクセルの踏み込みから実際に車が加速されるまでのタイムラグが大きくなるのも症状の1つです。
5. エンジン警告灯が点灯する
イグニッションコイルが故障すると、車がそれを自動的に検出し、エンジンチェックの警告灯が点灯あるいは点滅することがあります。
エンジン警告灯が付いてもすぐに走れなくなるわけではありませんが、できるだけ早くディーラーや修理工場に持ち込み修理するのがおすすめです。 診断機にかけて何が故障しているか判断してくれます。
イグニッションコイルの寿命と交換時期は?
イグニッションコイルは永久に使い続けられるものではなく、いつかは寿命を迎えます。どのように寿命や交換時期を判断すれば良いのでしょうか。

故障症状が出たら交換時期
前述の症状(始動不良、振動、加速不良、警告灯など)が出たら、イグニッションコイルが寿命を迎えている可能性があります。
早めに整備工場に相談しましょう。
おおよその寿命は10万km
イグニッションコイルは、使用年数より 点火回数(走行距離) によって劣化します。
一般的には 10万km前後 が交換の目安とされています。
ただし、運転環境や車種によっては早く故障することもあるため、日頃の症状チェックが重要です。
イグニッションコイルの修理方法と費用
自分での交換はおすすめしない理由
エンジン不調の原因は多岐にわたります。
イグニッションコイルを交換しても症状が治らないケースも珍しくありません。
また、誤った取り付けは別の故障を招く可能性もあります。
基本的には ディーラーや整備工場での交換がおすすめ です。
交換費用の相場
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1本あたりの費用:10,000〜15,000円(工賃込み)
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全数交換:30,000〜40,000円前後
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併せてスパークプラグも交換することが多いため、追加費用がかかるケースもあります。
イグニッションコイルの交換時期が近いなら“廃車の検討”もおすすめ
イグニッションコイルの交換時期である 10万km前後の車は、ほかの部品交換も多くなるタイミング です。
そのため、修理費がかさむよりも、乗り換えを検討したほうがトータルで安く済むことがあります。
中古車販売店で値段がつかない場合や、逆に引き取り費用を請求される場合でも、
廃車専門業者なら買取できるケースが多い です。
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イグニッションコイルの交換で悩んだ際は、費用と車の状態を比較しつつ、廃車という選択肢もぜひご検討ください。
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