パンクしていなければ大丈夫、溝があれば大丈夫・・・?普段お使いのタイヤは目視だけになっていませんか?調査によると意外な事実が・・・
実は半数以上が整備不良?乗用車のタイヤトラブル実態
一般社団法人日本自動車タイヤ協会(JATMA)によりますと、2019年10月30日に同協会が実施した高速道路サービスエリア内での点検の結果、実に49.6%の乗用車に整備不良が見つかったそうです。整備不良の内訳によりますと、溝が不足しているようなものはほぼなく、整備不良のほとんどは空気圧不足だったそうです。タイヤの空気圧は、通常タイヤ交換されたときにチェックする程度だと思いますが、実際はそれだけでは足りないようです。
実際、同時に行われたアンケートによると、40%のドライバーが半年以上タイヤの空気圧チェックをされておらず、頻度は大体年2回程度という結果でした。これはタイヤ交換の時期などと重なります。また、だれがタイヤ空気圧点検をおこなっているかというアンケートには78%のドライバーがガソリンスタンドやカーディーラー、整備工場、タイヤ販売店などタイヤ交換を実施されるところと思わる回答でした。ドライバー本人や家族がされているのは16%程度だったようです。以前はガソリンスタンドなどでもスタッフが無料点検などで声掛けすることも多かったかもしれませんが、最近はセルフスタンドがほとんどなので、タイヤ交換の時くらいしかチェックされないということにつながっているのかもしれません。
調査結果の詳細は一般社団法人日本自動車タイヤ協会HPまで
空気圧不足で起こる代表的な事故や不具合とは
タイヤの空気圧が不足していると、車に以下のような影響が出ます。
- ハンドル操作が不安定になる:空気圧が低いとタイヤがたわみ、正しい接地ができなくなります。その結果、車の挙動が鈍くなり、ハンドル操作に遅れや違和感が生じます。
- 制動距離が伸びる:ブレーキをかけても停止までに時間がかかるようになります。雨の日など滑りやすい路面では特に危険です。
- タイヤの偏摩耗:接地面が不均等になるため、タイヤが部分的にすり減り、パンクやバーストの原因になります。
- 燃費が悪化する:空気圧が低いと転がり抵抗が増え、エンジンに余計な負荷がかかるため、燃料消費量が増加します。
- 高速走行時のタイヤ破裂(バースト):最も危険なのが高速道路でのタイヤ破裂。空気圧不足のまま熱を持つと、タイヤが急激に劣化し破裂する恐れがあります。
こうした不具合はすべて、空気圧チェックという簡単な作業で未然に防ぐことが可能です。
空気圧が適正でないと起きる5つのリスク
タイヤの空気圧は、車の性能と安全性を大きく左右する重要な要素です。空気圧が適正でないまま走行を続けると、さまざまなリスクが発生します。以下に代表的な5つの問題を詳しく解説します。
燃費の悪化
空気圧が不足すると、タイヤの接地面が広がり、転がり抵抗が増加します。これにより、エンジンがより多くの力を必要とし、結果として燃料消費量が増える=燃費が悪化します。毎日の走行で少しずつガソリンの無駄遣いが積み重なり、長期的には家計にも大きな影響を与えます。
タイヤの偏摩耗・寿命短縮
適正空気圧でない状態が続くと、タイヤが均等に接地しなくなり、一部だけが早くすり減る「偏摩耗」が起こります。これにより、タイヤ全体のバランスが崩れ、結果としてタイヤ交換の時期が早まり寿命が縮むことになります。特に前輪と後輪で空気圧が異なると、さらに不均一な摩耗を招きやすくなります。
操縦性の低下・ハンドリング悪化
空気圧が低いとタイヤがたわみ、路面との適切な接地ができなくなるため、カーブやブレーキ時の挙動が不安定になります。これにより、ハンドルの効きが鈍くなり、車のコントロール性が悪化します。とっさの危険回避が難しくなるため、事故のリスクが高まる要因になります。
バーストやパンクのリスク増加
空気圧不足の状態で長距離走行や高速走行をすると、タイヤの内部温度が上昇し、構造的なダメージが蓄積されます。その結果、**突然のバースト(破裂)**やパンクの可能性が高くなります。特に夏場の高速道路では、空気圧不足が原因のバースト事故が多く報告されています。適正空気圧の維持は、重大事故を未然に防ぐためにも不可欠です。
車検で不合格になる可能性も
空気圧不足や過剰な偏摩耗は、車検時に不適合と判断される要因になることがあります。保安基準に適合しないタイヤでは、公道走行が許可されないため、車検に通すためにタイヤ交換が必要になり、余計な出費が発生することもあります。
タイヤ空気圧のチェック方法と頻度の目安
タイヤの空気圧には「適正空気圧」と呼ばれる基準値があります。この数値は、車種ごとに異なり、ドアの内側(運転席側)・給油口・取扱説明書などに記載されています。タイヤの空気圧は運転席のドアを開けたところのボディに貼ってあるシールで、メーカー指定の空気圧がわかります。
- 「2.2kPa」「220kPa」などの単位で記載
- 前輪と後輪で異なる場合もあるため、両方確認が必要
タイヤが冷えた状態で、ガソリンスタンドなどにあるエアゲージで調べることができます。0~+20kPaの範囲内になっているか確認し、不足している場合や入れる義弟る場合は調整してください。JATMAによりますとタイヤの空気は自然に抜けていくので月1回程度は点検をしたほうがよいそうです。
なお、高級車ではホイールに空気圧チェックセンサーがついており、ドライバーに知らせる機能もあります。また、社外品でそのようなセンサーはカー用品店でも販売されているようです。
家庭用の空気圧ゲージや電動コンプレッサーの活用法
最近では、家庭用のタイヤ空気圧ゲージや電動空気入れ(コンプレッサー)が手頃な価格で販売されており、誰でも簡単に空気圧チェックが可能です。
【おすすめツール】
- アナログゲージ/デジタルゲージ:タイヤのバルブに装着するだけで圧力が表示されます。
- 電動空気入れ(ポータブルエアコンプレッサー):設定した空気圧まで自動で注入できるため便利。
これらの機器を使用すれば、ガソリンスタンドに行かずとも自宅でこまめな管理が可能です。特に長距離ドライブ前や気温の変化が激しい時期には、自宅での空気圧点検が安心です。
月1回の点検が推奨される理由
タイヤの空気は自然に抜けていくもので、月に約5〜10kPa程度減少するのが一般的です。見た目に大きな変化がなくても、少しずつ空気圧が下がっていき、気付かぬうちに性能が劣化してしまいます。
【月1点検が推奨される理由】
- 燃費や操縦安定性を維持
- タイヤの寿命を延ばす
- 突発的なトラブル(パンク・バースト)を防止
- 車検や点検時に慌てない
また、気温の変化でも空気圧は変動します。特に夏や冬の季節の変わり目には、こまめな確認がさらに重要です。
スペアタイヤの空気圧も要チェック!見落としがちなポイント
車のタイヤ点検というと、つい「今装着している4本」だけに意識が向きがちですが、非常時に使うスペアタイヤも忘れずにチェックする必要があります。
非常時に役立たないスペアタイヤの危険性
スペアタイヤは、パンクやバースト時の「命綱」。しかし、普段使わないため、空気圧が低下していることに気付かず放置されがちです。
【実際に起こる危険】
- パンクして交換したのに、スペアタイヤが空気不足で走行不能
- 応急的に走れたとしても、異常摩耗や損傷を引き起こす
- 高速道路などでトラブルが再発すれば、重大事故に繋がる
スペアタイヤが「あるだけ」で安心せず、“使える状態”であることが本当の備えです。
テンパータイヤ(応急用)の注意点
最近の車には、軽量化のためにテンパータイヤ(応急用タイヤ)が装備されていることが多く、これは通常のタイヤとは異なる特性があります。
【テンパータイヤの特徴と注意点】
- 通常より小さく、軽量・簡易構造
- 最高速度は時速80kmまでが原則(側面に記載あり)
- 長距離・長時間走行はNG(近くの修理工場までの一時使用)
そのため、空気圧の低下があれば即座に使えなくなる可能性も。通常のタイヤ以上に、こまめな空気圧点検が必要です。
点検のタイミングと保管方法
【点検タイミングの目安】
- 本タイヤと一緒に月1回
- 車検・定期点検のタイミング
- 遠出・旅行前の点検
【保管上の注意点】
- 車載されている場合でも定期的に状態確認
- 湿気や直射日光を避ける
- ホイール・バルブのサビや劣化にも注意
スペアタイヤが「最後の砦」になることを忘れず、普段使わないからこそ、より慎重に点検・保管する習慣を持ちましょう。
まとめ|安全運転のためにタイヤの空気圧管理を習慣に
タイヤの空気圧点検は、整備工場やプロ任せにするだけでは不十分です。ドライバー自身の意識と習慣が、安全運転を支えています。
忙しい人こそ点検の「習慣化」がカギ
「時間がない」「面倒」と思ってしまいがちですが、給油時にガソリンスタンドで一緒に点検するだけでも十分です。
【習慣化のコツ】
- 給油のついでにチェックを習慣化
- スマホのカレンダーで月1リマインダー設定
- ポータブルゲージを車に常備
タイヤ空気圧の管理は、コストゼロで始められる最強の安全対策。ぜひ今日から取り組んでみてください。
✅ タイヤ空気圧 点検チェックリスト(月1回推奨)
チェック項目 | 内容 |
---|---|
空気圧の確認(前輪左右) | 適正値に達しているか確認 |
空気圧の確認(後輪左右) | 前後で指定値が異なる場合もあるので要確認 |
スペアタイヤの空気圧確認 | 応急用タイヤは高めの設定が多いので注意 |
タイヤの目視チェック | ひび割れ・異物・変形・摩耗などがないか確認 |
バルブキャップの確認 | 全タイヤにキャップがしっかり装着されているか確認 |
空気圧の補充(必要時) | ガソリンスタンドや家庭用コンプレッサーで補充可能 |