あまり知られていませんが、オートマ車でもエンストは起こります。バッテリー上がりでセルモーターが動かなくなるなどさまざまな原因が考えられますが、信号待ちや踏切で起こったときはパニックになるかもしれません。そんなときでも慌てずに対処する方法や修理費についても解説します。
そもそもエンストとは?
そもそも「エンスト」とは何の略で、どのような状態を指すのか、基本的な知識について解説します。
「エンジンストール」の略
エンストとは「エンジンストール」の略です。ストール(stall)は英語で失速を意味し、エンストはエンジンが意図せずに動かなくなった状態を指します。
エンストのことを「エンジンストップ」の略だと誤解している方もいるようですが、正しくは「エンジンストール」ですので注意してください。
エンジンが意図せず停止した場合、特に交差点や踏切などで起こると重大な交通障害や事故につながる危険性もあります。正しい知識を持って対処することが重要です。
マニュアル車だけでなくオートマ車でも起きる
エンストといえば、マニュアル車の初心者が起こしがちなものとして知られていますが、実はオートマ車でも起こります。
マニュアル車と違い、操作ミスによるエンストはあまり起きません。しかしながら、後述するとおり状況によってはオートマ車でもエンストを起こすことがあります。
オートマ車でエンストが起こる原因を6例紹介
オートマ車でエンストが起こる原因について、代表的な6例を症状とともに紹介します。
シフト操作の誤り
例えば、急な上り坂でDレンジに入っているが、アクセルを踏まずに車両が後退してしまった場合や逆に急な下り坂でRレンジにシフトを入れていたが、そのまま前進してしまった場合など車両の進行方向と逆にシフトが入ってしまっているとエンストする場合があります。
燃料の入れ間違い
入れるべき燃料の種類を間違えると当然エンストが起こります。例えばガソリン車に軽油を入れたり、ディーゼル車にガソリンを入れたりした場合です。
ガソリン車の燃料に軽油を混ぜてしまった場合、エンジンの出力が下がり、加速が弱くなり、アイドリングも不調になります。100%軽油の場合は黒い排気ガスが排出され、やがてエンジンが停止するでしょう。
また、ディーゼル車にガソリンを入れた場合エンジンに力がなく、アイドリングが不安定になります
燃料を間違えると最悪のケースではエンジンの破損につながるため注意しましょう。後述するとおり、燃料の入れ間違えによる修理は高額の修理費用が必要となるため注意してください。
点火プラグの故障
点火プラグとは燃料に火をつけるための部品であり、これが故障するとうまくエンジンが動作しなくなります。
点火プラグは一般に複数個取り付けられていますが、そのうち1つでも故障するとエンジンの回転がばらついたり、回転数が上がらなくなったりしてエンストに至るのです。
この症状を「失火している」と言ったりします。
ホースのエア漏れ
エンジン周辺に使われているホースは経年劣化を起こし、ひび割れが起きることがあります。
するとそこから空気が漏れ、エンジンに入る空気量が減り、不完全燃焼が起きてエンストを起こすかもしれません。
エンジンがガクガクと振動して、その後でエンストする場合は燃料系のトラブルが疑われます。
燃料ポンプの故障
燃料ポンプが詰まることによって燃料がエンジンに適正に供給されなくなると、エンジンが十分なパワーで動作できなくなります。
同様に燃料と空気を混合するインジェクションが故障してもエンジンが正しく動作せず、エンストが起こる可能性があるでしょう。
O2センサーの故障
O2(オーツー)センサーとは、その名の通り排ガス中に含まれる酸素濃度を検知しているセンサーで、ECUを経由して信号を送り、インジェクターの燃料を濃くしたり薄くしたりしています。
これが故障するとエンジンチェックランプが点灯したり、交差点などでアイドリングが不安定になり、突如エンストしたりします。
その他にも、あまりありませんが、バキュームセンサーの故障などの場合もあります。
エンストを起こしたときの対処法
エンストを起こすことが稀なオートマ車でエンストが起こるとパニックになるかもしれません。正しい対処法を頭のなかに入れておき、冷静に対応してください。
まずは安全に停車する
走行している状態でエンストを起こしてしまった場合、まず行うことは安全に停止することです。
エンストを起こすとエンジンを停止した状態になるのでパワステが効かなくなりハンドルが重くなります
Nレンジに入れると車は惰性で動けるのでハザードランプをつけながら路肩に寄せましょう。
ブレーキも効きづらくなっているので、急な坂道でなってしまった場合は強くブレーキを踏みこみ、緊急時はサイドブレーキも使用すべきです。
エンジンをかけてみる
停車したら、できれば三角停止板やなければ発煙筒を焚いて、後続車に注意喚起をします。
エンジンを切ってから再始動してみましょう。そのまま動きそうであれば、速度を落として修理工場で見てもらいましょう。
JAFやロードサービスに連絡する
エンジンの再始動ができない場合、JAFやロードサービスに連絡して救援を要請しましょう。
高速道路上でのエンストの場合、追突されたときのことを考えて乗員は全員車のなかにとどまらず、ガードレールの外に退避してください。
踏切でエンストが起こったら・・・
あまり考えられませんが、渋滞などでのろのろと踏切に差し掛かった時、タイミング悪くエンストをしてしまった。そのようなことも起こりえます。
パニックになるでしょうが、まずは他の時同様、エンジンを切って再始動してみましょう。ほとんどの場合は動くはずです。
万が一動かない場合は、大変です。マニュアル車のようなシフトを一速に入れてキーを回し続けて動かすという手段が取れないため、押し出すしかありません
すぐ押して出せそうであれば、Nレンジにして押せば、軽自動車なら大人の男性であれば一人で押し出せます。
普通車であったり、女性ドライバーであれば難しいかもしれないので、周辺のドライバーにたすけてもらわないといけないかもしれません。
作業の際は必ず踏切の非常ボタンを押し、鉄道会社に知らせたのち、作業をしましょう。もし、非常ボタンがない踏切などの場合は、車載の発煙筒を焚いて列車に危険を知らせてください。
修理費が高い?
オートマ車のエンストはそれほど頻度が高くありませんが、エンストが起きて修理が必要となるとやはり結構な修理費が必要となります。故障が起きた場所ごとに修理費の相場を紹介しましょう。
エンジン
燃料の入れ間違いをしてエンジンをかけてしまった場合、エンジンを分解して洗浄、部品交換などが必要になるため、数十万円の修理費が必要です。
エンジンをかける前に燃料の入れ間違いに気づいたのであれば燃料タンク内の燃料の抜き取り、洗浄のみなので数万円の修理費で済みます。
燃料の入れ間違いに気づいたときは決してキーを回さないでください。
燃料ポンプ(フューエルポンプ)
燃料ポンプが故障した場合は、部品代2万円以上と交換工賃2万円以上で総額4万円以上必要になります。
仕様によってはそれ以上かかる場合もあります。あまりお金をかけたくないのであれば、在庫次第ですが中古部品を使う手もあります。
オルタネーター
オルタネーターとはエンジンの回転を利用して発電するための装置であり、これが壊れると電力供給が絶たれ、電装品が作動しなくなりエンストにつながります。
オルタネーターの交換費用は車種によって異なり、5万円から15万円と幅があります。ハイブリッド車では高性能なオルタネーターを利用しており、交換費用が高くなるでしょう
スパークプラグ
スパークプラグ(点火プラグ)は車種やプラグの種類により、1本あたり1,000円~2,000円程度です。交換工賃は車種により3,000円程度~10,000円程度かかります。消耗品のため、1本だけがダメであっても、合わせてエンジン気筒分すべての交換を進められるでしょうし、プラグコードの交換も進められるかもしれません。
100,000kmまたは10年程度使用されている場合は、合わせて交換してもよいタイミングでしょう。
O2センサー
O2センサーの交換費用は6,000~10,000円程度ですが、部品代は社外新品か純正部品かなどにより金額は変わります。社外品であれば数千円程度~ありますし、外車で純正品となれば50,000円以上します。国産車純正品であれば10,000~30,000円程度と見ておけばよいでしょう。
合計で20,000~40,000円程度となります。
修理費が高額になったら廃車も検討しては?
この記事で紹介したようにオートマ車でエンストが起こった場合の修理費用は高額になりがちです。また、故障が原因でエンストを起こす車は年式が古いものが多く、修理しても他の場所がすぐに故障する可能性もあるでしょう。
修理費が高額になった場合は廃車を検討してはいかがでしょうか?廃車ひきとり110番なら故障が原因で動かなくなった車でも買取します。
もちろん動かない車はレッカー車で引き取りに伺うことができ、その費用は無料(離島など一部地域を除く)。廃車手続きに関しても代行iいたします。
時間がない方のために、メールフォームやLINEでの査定も受け付けています。ぜひお気軽にお問い合わせください。